ISO 13485:2016の初歩
基本の基本、最初に勘違いしやすいところ。
品質マネジメントシステム(QMS)は、
組織が直接的又は間接的に意図した結果を達成するための活動を管理する方法です。
そのために、経営トップが品質方針を定め、
それに合せて各部門長が品質目標を決定します。
最終的には、個人の品質活動計画までブレイクダウンして、
年度毎、四半期毎の活動計画が決まります。
そのQMSですが、
ISO 13485自体もQMS(品質マネジメントシステム)と呼ばれます。
さらに、医療機器の場合、
それと別に厚生労働省のQMS省令があります。
当初、この違いが分らず頭の中で混乱が始ります。
内容そのものも、全く異なる訳ではなく、同じとも言えません。
微妙に異なるものです。
さらに、条項番号だけを見ると全く異なるのです。
2つのQMS
先ず、QMSが2つあることを理解して下さい。
1つ目、厚生労働省のQMS省令は、法律です。
ですから、医療機器を作る場合、
これは絶対に守らなければなりません。
この省令に基づいて医療機器製造販売業許可や製品の承認がなされます。
2つ目、反対にISO 13485は、医療機器の品質マネジメントシステムですが、
あくまでも国際規格です。
日本の法令ではありませんから、
これを取得しなくても医療機器業界に参入可能です。
ただし、輸出を含めて、医療機器業界でビジネスを発展させて行こうと考えるなら、
ISO 13485の取得を目指した方が良いと思います。
ISO 9001に比べて、医療機器業界の中では、ブランド力が大きいのです。
ただし、お金が掛かります。
医療機器製造販売業許可を取るには20万円でおつりがきますが、
ISO13485では100万円でも少し足りないと思います。
(これは、コンサルティング料など含みません)
厚生労働省のQMS省令は、年内(2019年中)に改正されます
平成31年(2019年)中に、厚生労働省のQMSは改正され、
改正後のQMS省令は医療機器品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO 13485:2016に準拠したものとなる予定です。
変な話ですが、
上位にあるはずの法律が、ISO13485の側に近づいて行くのです。
まあ、言ってみればグローバル化の流れですが、
医療機器は人の命に関わる部分が大きいので、
国際的に同じ基準で作りましょうと言うことです。
現在の、ISO 13485::2016はその前の版であり
現行QMS省令が依拠しているISO 13485:2003に比べて要求事項が詳細化されています。
さらに、文書化要求も増加しています。
新QMS省令は本年10月に案が公表される予定です。
いったいどのような改正になるのでしょうか。
加えて、医療機器企業においてどのような影響ががあるのでしょうか。
医療機器に携わる企業は改正QMS省令に準拠したQMSの構築を施行後3年以内に実施する必要があります。
改正QMS省令の元となるISO-13485:2016は、
米国FDA QSR(21 CFR Part 820)に極めて近くなり、
特に設計管理について詳細な要求が盛り込まれています。
例えば、設計・開発ファイルの作成や設計移管が追加になります。
医療機器は、たとえ設計された図面の通り適切に製造したとしても、
そもそも設計に間違いがあった場合、
安全な医療機器とはならないためです。
これまで、この部分があいまいでした。
これは、とても良い変更点です。
このサイトの今後
今後、数回に分けて、ISO 13485:2016と厚生労働省のQMS省令について、
入門編を解説したいと思います。
医療機器製造販売の許可や、
製品の申請では、行政書士の方が、
コンサルティングを行っているのを見かけます。
薬機法に関する専門家として、
携わっているのだと思います。
それを批判するつもりはありません。
しかし、ときどき行政書士の方が作った品質マニュアルを見るのですが、
「これじゃ作れないよな?」と思うことがあります。
設計開発して、製造側に品質を保った医療機器を作らせる。
これが医療機器です。
私の場合、医療機器メーカーの工場長として、
作る側で薬機法(当時は薬事法)に関わってきました。
品質マニュアルは、作る側を無視して作成すると、
いつの間にか形骸化して、事故の元になります。
医療機器を作って、
売るつもりであるなら、それは絶対に避けるべきです。
法律に則り品質マニュアルを作成するのは大切ですが、
それ以上に、作る側の立場でマニュアルを作らなければ、
死んだマニュアルしかできません。
このブログでは、その部分に注意してQMSや薬機法、ISO 13485の解説を行います。
ときどきで構いません、医療機器を製造販売するつもりなら、
立ち寄って頂けると、幸甚です。
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