2040年問題② 2040年問題に医療はどう生きるべきなのか
もはや国家存亡の危機と言ってもいい2040年問題。
2025年問題においては、国家にとっては危機であっても、
医療業界にとってはプラスだと思える状況ではあったものの、
医療業界にとっても2040年問題は間違いのない危機。
少なくとも、このままでは崩壊の序章を見ることになるでしょう。
そこで、ここでは、
2040年問題に向けて医療業界はどう生きていかなければいけないのか。
そこに迫ってみましょう。
医療もまたビジネスである
医は仁術。
確かにその側面は忘れてはいけないものですが、
しかし、今後はよりビジネスを意識していくべきなのです。
かぎりあるパイを奪い合う状況に
人間が生きていく上で、医療というのは決して欠かすことのできないものです。
ですので、これまでの医療の現場においては、
いかにその技術を革新させ、人を救うその能力を高めていくのかが大目標でした。
しかし、当然それは不可欠であっても、
それだけでは成り立っていかなくなるのが2040年問題。
十分に医療費をかけることができない、
限られた患者さんをそれぞれの医療機関が奪い合うということが容易に想像される社会では、それも当然のとこ。
質だけでは選ばれない時代がやってくるのです。
医療が武家の商法であることに気付けるか
明治初頭、職にあぶれた武士たちが商売人となり多くが失敗したという歴史があります。
これはいわゆる『武家の商法』というもので、
自分たちをいつまでもひとつ上の身分であると勘違いしたがために、
商売の本道を外したことがその失敗の原因。
そしていま、医療もまたそこにあることを忘れてはいけません。
もちろんそういった意識のない医療機関もたくさんありますが、
まだ多くの医療機関において、または医療に関係する業界において社会的強者の視点は払拭されていません。
それは薬品業界、医療機器業界であっても同じことです。
医療を利用する人をお客様だと思えるか
医療を利用する人、それはこれまでお客様という感覚であまり捉えられていませんでした。
しかし、そこにいち早く対応しているのが薬品業界。
ここ数年で、薬品のパッケージや値段、もしくは販売における小売のあり方などは、
完全にかつてとは違った『商売』をベースにしたものになっているはずです。
証拠に、今やチェーンの薬局で、野菜も下着も雑貨もおやつも買える。
つい十数年前までは、薬局というのはどちらかというと暗いイメージで、
一般的には入店しにくい雰囲気だったことを覚えている人も多いでしょう。
しかし薬品業界は変革を始め、今や薬局は生活のかなめとなりつつある。
そんな中、他の医療業界も、これと同じ道をたどることができるのか。
いま、医療全般において、それが試されている時期だと言えるのです。
効率という概念をいかにコアにできるか
医療が効率を重視する。
それはある視点から見れば、タブーのようなものですが、
しかし、2040年問題の前でタブーはありません。
効率化するではなく効率をコアに置く
医療の効率化というのは、これまでも進められてきたものです。
それは決して間違いではなく、
また医療の分野であっても決して忌避されるようなものではありません、当然のことです。
しかし、医療が効率化を一番に考えるというのでは、
イメージは大きく違います。
現在の価値観では、医療がまず効率を重視して考えるというのは、
人によってはタブーであるというレベルのものですよね。
しかし、今後はこれをコアに置かなければいけない状況が訪れるのです。
医療費の低下はコストダウンを必要とする
現役世代と高齢者の人口がほぼおなじになり、
現役世代の経済的安定も危ぶまれる2040年問題です。
言うまでもなく、医療費の個人負担は増大し、
これまでになく個人個人で医療費を節約する時代がやってきます。
そうなってきた場合、否応なく医療業界もコストダウンを迫られるのは自明です。
これまで通りのことをこれまでとは比べ物にならないくらい安価でできる、
それが今後の医療における重大な課題である以上、それは仕方のないこと。
これは医療機器業界のイノベーションの方向性でもあり、医療機関の経営方針でもあるのです。
労働人口減は効率で補うしかない
また、医療業界においても2040年問題における労働人口減は深刻です。
医療という分野は、
人がいないからと言って際限なく減らしても良い分野では決してありませんから。
少ない人数でいかに業界を維持していくかはそれこそ国家レベルの問題。
特に、医療機器業界のイノベーションはそこに大きな貢献を期待されているはずです。
それこそ、医療業界が効率化をコアに置かなければ社会は崩壊する。
大げさでもなんでもなく、そういう考え方で十分です。
変わらざるを得ないという好機
医療業界もまた、2040年問題を前に変わらざるを得ない。
それも、医療というものの考え方の根底から変えていくくらいのものでないと、
この先の時代に生き残ってはいけない。
2040年問題をしっかりと見据えたときに見えてくるのは、
そういう大変革への社会的な要求です。
しかし、言い換えればそれは既存の医療業界の危機。
そこに必要なのは、血の入れ替えに等しい、
あたらしい医療業界の担い手だと言えるのです。
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