医療機器には添付文書が付いてます
添付文書とは、使用者に必要な情報を伝達するため、
医薬品等の使用上の注意等を記載した文書のことです。
例えば、クラスⅡの医療機器である、「キズパワーパッド」にはこんな添付文書があります。
絆創膏は、通常クラスⅠの医療機器ですが、
キズが治る(治療できる)絆創膏である、「キズパワーパッド」は、クラスⅡに分類される医療機器です。
下の画像は見づらいと思いますが、
詳細に見たい方は「キズパワーパッド」を薬局で購入して下さい。
添付文書は、通知による記載要領に基づいて作成され、
個々の製品への添付が義務づけられています。
なお、その内容については、
副作用報告等の安全性情報を踏まえて随時改訂が行われます。
言い換えると、
メーカーは常に最新の知見を確認し
何かあれば添付文書を見直し、修正しなければなりません。
添付文書の重要性が見直された
添付文書の重要性が見直されたのは、
『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』
による平成21年4月30日の
「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(法第一次提言)」が、
発表されてからでした。
皆さんは、薬害肝炎事件を覚えていますか。
血液凝固因子製剤
(フィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤、非加熱第VIII因子製剤)
の投与によるC型肝炎の感染被害のことです。
製薬会社「田辺三菱製薬」は、
フィブリノゲン製剤の推定投与数は約29万人であり、推定肝炎感染数1万人以上と試算しています。
この事件を契機に、添付文書の重要性が見直されました。
日本でも、添付文書について、
欧米の制度も参考に承認の対象とするなど承認時の位置づけを見直し、
公的な文書と位置づけて、行政の責任を明確にするべきとの指摘がなされました。
しかし、欧米の制度を取り入れるのが嫌いな厚生労働省は、
それを見送っていたのです。
また、
『厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会』
による平成23年1月24日の
「薬事法等制度改正についてのとりまとめ」
において、
添付文書の位置づけについては、
国の監督権限を薬事法上明確にすることが必要であるとされました。
また、その方法として、承認の対象とするか、
あるいは製造販売業者に届出義務を課すかについて議論が行われました。
その議論において、
承認とした場合には医療の現場で萎縮が起こる可能性があるとの懸念が示されました。
これは、不思議な話です。
なぜ、承認だと医療現場の人たちが萎縮するのでしょうか?
しかし、とにかく製造販売業者に対し、
製造販売開始前及び改訂時の添付文書の事前の届出義務を課すものとする制度に改めることが適当であるとする意見が優勢を占める至りました。
つまり、厚生労働省は、承認していないので責任はありません。
このようなとりまとめを踏まえ、
医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者は、
最新の知見に基づき添付文書を作成して厚生労働大臣へ届け出るものと決まりました。
併せて、迅速な情報提供を行う観点から、届け出た添付文書を、
直ちに、ウエブサイトに掲載するものとする添付文書の届出制が導入されることとなりました。
これが、現在の制度であり、PMDAのWebサイトに掲載されている添付文書です。
少し慣れれば、すぐに検索することができます。
使ってみて下さい。
また、類似医療機器を作っているメーカーは、
当然、他のメーカーの添付文書も参考にすべきです。
添付文書の誤字脱字は医療機器の回収に値します
たかが文書と考えてはいけません。
添付文書の記入ミスで回収になる事例はたすうあります。
また、ここでPMDAの不親切さもよく見て下さい。
前回、医療機器のクラス分類を説明しました。
そのクラスⅠ~Ⅲと全く同じ言葉を使いながら、
意味が逆になっているのです。
つまり
クラスIとは、
その製品の使用等が、
重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況を言います。
クラスIIとは、
その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況
又はその製品の使用等による重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況を言います。
クラスIIIとは、
その製品の使用等が、
健康被害の原因となるとはまず考えられない状況を言います。
たかが、分類ですがなぜ、わざわざ分かり難くするのでしょう?
本当に訳が分かりません。
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