誤解が多いのですが、
医療機器業界でビジネスをするためには、
絶対に必要なのは、ISO 13485ではありません。
このQMS省令への対応です。
とは言え、実際にはほとんどおなじものです。
今年(2019年)QMS省令は改正されます。
その改正によってさらに、ISO 13485に近づきます。
少し古い話になります。
旧薬事法においては医療機器の製造販売業にQMSは提要されていませんでした。
平成26年移行の医薬品医療機器等法(薬機法)においてはOMS体勢を整備することが製造販売業の必要要件となっています。
また、同時に、医療機器の承認・認証維持の要件でもあるのです。
ですのでここでは、そんなQMS省令についての基礎的な知識を押さえておきましょう。
QMS省令とは
まずはその基本を抑えます。
QMSとは
QMSとはQuality Management System 品質管理監督システムの略です。
一般的(日本の医療機器業界)には、
薬機法の基づいて定められている厚生労働省令第169号、通称『QMS省令』のことを指します。
QMS省令とは
OMS省令とは厚生労働省の定めた医療機器に特化した品質管理の基準です。
これは同じく医療機器に特化したISO13485を基準に、
日本独自の規定を上乗せして策定された省令で、
2016年にISO 13485が改定されたことで2019年より改正省令が施行されます。
GQPとの違い
旧薬事法においてはGQPという基準が存在しました。
しかし、現在GQPは医療機器製造販売業者には適用されておらず、
その大半はQMS省令第3章に移行しています。
QMS体制省令
次にQMS省令とセットでQMS体制省令についても見ておきまししょう。
QMS体制省令とは
QMS省令は寝室マネジメントシステムの組織や文書、
運用について定めた基準になります。
一方QMS体制省令とはQMS省令の基準に従って会社組織を運用していくための体制について定めた省令、
ということになります。
これは第1種~3種全ての医療機器製造販売業許可の許可要件になっています。
ですから、医療機器を作って販売するには必須の事項です。
QMS体制省令に基づく許認可
QMS体制省令はQMS省令の運用が可能な体制であるかの基準です。
ここには、人員体制に関する細かな指定もあります。
つまり
適切な人員の配置について(体制省令第3条第2項関係)
医療機器等製造販売業者はQMS省令の規定を遵守するために、
それぞれの資格要件に応じた以下の人員の配置を適切に行う必要があります。
(以下、【 】内は資格要件の規定条文)
○管理監督者【QMS省令第2条第16項】
製造販売業者等の品質管理監督システムに係る業務を最上位で監督する役員等
○管理責任者(限定第三種医療機器製造販売業者を除く)【QMS省令第16条】
製造販売業者等の役員、管理職の地位にある者その他これに相当する者
○医療機器等総括製造販売責任者【医薬品医療機器等法施行規則第114条の49】
総括の要件は色々あります。
私も持っていますが、それほど難しい分けではありません。
ただ、これから医療機器の製造販売をしようと思っているのに、
経験年数を求められます。
これ変ですよね?
でも文句を言っても聞いてくれません。
○国内品質業務運営責任者【QMS省令第72条第1項】
以下の要件を満たす者
- 製造販売業者における品質保証部門の責任者
- 品質管理業務その他これに類する業務の従事経験(3年以上)
- 国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有すること
- 医療機器等の販売に係る部門に属する者でないことその他国内の品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと
この省令をしっかり満たしていることで、
都道府県による医療機器製造販売業許可の審査を受け、
その許可がもらえるということになります。
これは、都道府県に存在する薬務課(呼び方は地方によって異なる)が、
厚生労働省に委託されて業務を行っています。
変な話ですが、審査基準は都道府県に任されていますので、
かなり違います。
つまり、厳しい都道府県では、許可を取るのが大変です。
また、担当者の人数が大幅に異なります。
東京はとても多いのですが、
私の知る、神奈川、石川、富山、秋田、などは1~2名しかいません。
埼玉は6名体制です。
しかし、これは担当の方から直接伺いましたが、
「地方ではその余裕がない」とのことでした。
ですので、「東京のサンプルを使って作成して下さい」と言う都道府県もあります。
埼玉などは、「自分たちの組織にあったモノを作って下さい」と言います。
もっと、どう作ってもそれほど大きな違いにはなりません。
OMS省令に基づく許認可との違い
都道府県による医療機器の製造販売業の許可が降りたということは、
QMS体制省令に適合しているという証です。
しかしそれは、あくまでQMS省令を満たすことのできる体制があることを確認されたと言うだけのことであって、
QMSが適切に運用されているということではありません。
ですので、医療機器の認証と承認をえるにはQMS省令に適合している、
つまりQMS省令に基づく品質マネジメントシステムが可動運用されている事実を調査の上確認されなければいけません。
この調査を『QMS適合性調査』といい、
QMS体制省令と違い、実際運用が必要な事項については、
その実施までは調査対象となります。
QMS省令の改正
冒頭で述べましたが、本年中(2019年)にQMS省令は改正されるはずです。
はずと言うのは、当初の発表よりも遅れているので、
若しかしたら、間に合わないこともあるからです。
まあ、お役所の仕事なのでそのあたりは良く分りません。
ISO 13485が2016年に改正されたことにより、
それに即したQMS省令の改正が2019年に効力を発揮します。
この改正により、従来はISO 13485:2003に準拠していたQMS省令に,
ISO 13485:2016に追加された要件が同じく追加されるということになります。
その要求は様々な分野およびますが、その要点は。
- 医薬品と異なる医療機器のモデルチェンジのスパンの短さへの対応
- 新医療機器の許認可の時間短縮
- 医療機器ビジネスの国際化に向けた国際整合性への配慮などがその内容の大きなポイントとなっています。
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