医療機器ときくと、なにか難しいものではないかと尻込みをする経営者の方が多いのです。
私は長く医療機器製造の中にいましたから、
それが普通になってむしろ他の業界は怖いです。
まだ、医療機器があまり売れなかった頃、
1990年代の終わりから、2000年代の始め。
IT機器業界、つまり通信機器の部品を受注で請け負いました。
まあ、節操のない会社だったのです。
営業メンバーの努力の甲斐あり、数年で会社の売上げの20%にまで伸びました。
医療機器は急激に売上げが伸びることはありません。
経営陣は大喜びです。
しかし、2008年9月15日のリーマンショック後、
その20%は数ヶ月でゼロになりました。
医療機器の売上げはほとんど影響を受けませんでしたが、
会社としては20%の売上げダウンです。
経営者の皆さん、良く考えて下さい。
安定した業界の方が、経営計画を立てやすいのです。
そして、人の命を直接助ける機械であることを忘れずに医療機器業界に挑戦して下さい。
まあ逆に、他の工業製品と違い、自社製品の不具合が即、
命にかかわるというのは確かに尻込みする要因となるでしょう。
しかし、それは真実なのでしょうか。
実は、そんなことはないのです。
医療機器は危ないのか?
もし万が一、製品の不具合が起こった時、
医療機器は命に直結する。
だから、そのリスクは会社の信用だけではなく、
保証や賠償においても大きなリスクがあるのではないか。
……そんなふうに思ってはいませんか?
一般製品と違い使うのは専門家
まず医療機器による医療事故というのは、
日本ではその割合は高くありません。
これは実は簡単なはなしなのですが、
例えば家電製品などで事故が起こるなどと言った場合使用しているのは普通の人です。
しかも、一般家庭における杜撰な管理やメンテナンスがその根底にはあるのです。
しかし、医療機器を扱うのは、殆どの場合専門家です。
とうぜん、専門的な知識を豊富に持っている上に、
家電などと比べれば比較にならないほど高度で厳重な管理がなされます。
医療機器由来の医療事故の実態
医療機器由来の医療事故の大半は使用方法の間違いなど、
使用者に原因がある場合がほとんどです。
これには、様々な要因があるものの、
やはりその一番の理由は、医療機器を製造する場合には、
しっかりとした業許可が必要であることが大きな要因。
しっかりとした品質管理マネジメントのもとで作られる製品ですから、
そこで起きる事故は少ないのです。
薬機法での承認や認証は国家のお墨付き
薬機法における承認や認証の手間というのも医療機器製造販売の大きな障壁ですが、
しかしこれが大事なのです。
つまり、法の規制によって承認や認証もしくは業許可をえたということは、
それは国家によるお墨付きを得た、
つまり日本国によって安全性は担保された、という意味です。
つまりそれは、何らかの事故が起こった場合も、
定められたとおりの業務を遂行していれば、
その責任は事業者だけではなく国家にも分散されるということです。
クラスによってはほとんどリスクはない
医療機器はクラスが1~4に分類されます。
この内クラス1は不具合が生じても人体にほとんどリスクのないものとされていますので、
いわゆる命に直結しない医療機器です。
しかもクラス1に関しては製造する際、
必要なことは厚生労働省への書類の提出のみ。
医療機器産業への障壁として頭に浮かぶもののほとんどは、
ここには存在しないと言ってもいのです。
まずはローリスクで業界になれる
たしかに高度医療機器の製造販売となると、
そのリスクは非常に高くなります。
そしてそのリスクに比例して、
様々な手続きや検査、および審査も厳しくなっていきます。
ですのでまずはローリスクからの参入を考えてみるのも一つの手です。
ただし、当然ながらクラスの低い医療機器は価格競争が待っています。
メガネはクラスⅠの医療機器ですが、激安のメガネもありますよね。
まずはクラス1の製造業を目指す
医療機器業界への参入を目指す中小企業におすすめなのは、
クラス1の製造。
ただしあくまで練習だと思って下さい。
これを作っている間に、
社内の体制を改善しましょう。
参入が簡単な上にリスクの少ないこの業態なら、
医療機器業界への参入も容易にできることは間違いありません。
そして、ここでまず業界に慣れるというのは大切なことです。
その後製造販売業へ転身
製造販売業は、医療機器産業の中では最も壁の高い業態。
業許可も簡単ではなく、
また追うべき責任も思うくなっています。
しかし、現在は、国策として医療機器産業の振興が叫ばれていますから、
こういった規制の緩和や要件の緩和が期待できる情勢でもあります。
まずは、しっかりと製造業で将来を見通したあとで、
製造販売業を目指しても遅くはありません。
まずは飛び込んで見る
医療機器の製造販売業を目指すのであれば、
いきなり難しいことはしないのです。
もしそこにリスクやデメリットを多く感じてしまうのであれば、
できるだけローリスクの場所にまず飛び込んでみて考えるのでも遅くはありません。
現在の医療機器産業の旨味は、
それでも参入すべきだといえるほどに大きいものです。
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