医療費の抑制はどんな影響を与えるか?
医療機器業界の底を支えている高齢化社会。
しかし、高齢化社会自体は、国の財政の大きな負担として位置づけられており、
基本的にいわゆる高齢者サービス業界と医療機器業界以外には厳しい現実です。
そこで国が打ち出しているのが医療費の抑制。
医療費、つまり健康保険料が国の財源を大きく圧迫していることから考えてとうぜんの政策ではあるのですが、
医療機器業界にとってはあまり良いニュースには聞こえませんよね。
医療費が押さえられ病院に来る人が減ると医療機器業界にプラスにはならない。
普通はそう考えがちですが、それ、実は勘違い違いかもしれません。
医療費の財政圧迫が求める医療の効率化
医療費の抑制は医療の効率化につながる。
それは世界的な流れになっています。
先進国の医療費はかなり高い
WHOと世界銀行に指標をもとに大和証券がまとめた資料によると米国の医療費は9000ドルを超えています。
もちろんこれは先進国の中でもかなり際立って高いものですが、
医療費の総額はアメリカのGDPの約18%と、膨大な額になっているのです。
これに対し日本とEUは約4000ドルGDPに占める医療費の割合も10%前後となっていますが、これでも高い数値です。
今後、中国やインド、ASEAN諸国も同じ様になると考えると、
医療費の増大はとどまるところを知らないといえます。
高齢者ほど医療費は高い
つまり、日本や先進諸国においてこの高齢化が収まらない限り医療費の増大は止まらず、
財政を圧迫し続けていくのですから、これはかなりの負担です。
とはいえ、高齢者の医療自体は必須のもの。
医療費が増大しているとはいえ、高齢者から医療の機会を奪うことはできないのですから、
ここで重要となってくるのが「健康維持」と「医療の効率化」
特に医療の効率化は、喫緊の課題と言っても良いのです。
医療の効率化は医療機器業界の光明
医療の効率化
そのニーズの先にあるのは医療機器業界のさらなる活況かもしれません。
医療機器はもともと医療の効率化のためにある
医療機器というのはもともと医療の効率化のためにあるものです。
MRIやPETのような大型の装置や機械は言うまでもなく、
小さな医療器具のようなものにいたるまで、
いかに医療を効率的に便利に行うか、そのために医療機器は存在するのです。
ですから、医療の効率化はむしろ医療機器業界の出番と言ってもいい状態なのです。
先進諸国においては医療機器のモデルチェンジが続く
その際、先進諸国においては医療機器のモデルチェンジが続いていくことは容易に想像できます。
現在医療機器分野に大きく足りていないIT技術やSEによるプログラムなどはもちろん、
大型機器のより効率化を目指した改良、そして細々とした小さな医療器具の改良と先鋭化。
要は、ここからは既存のアイテムをより効率化させるアイデア勝負の時代が来るというわけです。
それだけではなく、高い技術による器具としての能力の向上も効率化には必須です。
他業種からの流入による新しいアイデアやものづくり大国日本の底力が存分に活かせる時代が来ると言ってもいいでしょう。
途上国においては医療機器の導入こそ急務
一方途上国では、医療機器の導入そのものが遅れている国がたくさんあります。
経済的には世界第2位である中国ですら、
やはりその国中に高度先進医療をまかなえるような医療機器が浸透しているということはありません。
また同時に、細かい医療器具に関してもレベルの低いものが蔓延しています。
ですので、そういった国への輸出品目としても医療機器はこれからも重要なのです。
これからの医療機器業界を支える異業種の経験とスキル
つまりこれからの医療機器業界、特に異業種参入の医療機器業界は大きなポイントとなります。
医療費のスリム化により医療の効率化が喫緊の課題である以上それは避けられない情勢と言っていいでしょう。
まさに、今こそ参入の時。
といえるかもしれません。