病院経営の危機とは何か?

医者が病院軽々に悩む現状、病院経営の危機とは何か?

かつてお医者様といえばお金持ちの象徴でした。

もちろん今でもお医者様がお金持ちであることは間違いないのですが、
ではこれからもずっとそうなるかといえば実はそうではないかもしれません。

少子高齢化で高齢者が増加、医療の需要はどんどんと右肩上がり。

しかし、なんと日本では病院経営が危機的な状況に陥っているという現実があるのです。

赤字経営

病院の倒産が当たり前、赤字経営はさらに当然

病院はお金がある。
その常識は今や昔の藩士で、その現状はかなり厳しいと言わざるを得ません。

赤字は当然、倒産数も右肩上がり

独立行政法人福祉医療機構が平成28年に調べたところによると、なんと一般病院の4割が赤字。
(ただし、ほとんどは歯科医院)

また同年の帝国データバンクの調べによると、
医療機関の倒産件数は25件、2000年意向600件近い医療機関が倒産の憂き目にあっているという結果になっています。

赤字に関してはその多さが際立ちますが、一見倒産件数は少なく感じますよね。

しかし、よく考えてみてください。

日本の医療費はどんどんと増大し、
高齢化によって病院の需要は上がっているはずなのです、それなのに倒産するというのはよほどのこと。

しかも、大手病院になるほど、その赤字を過去の遺産でつないでいる現状。

ですので、過去の遺産を食い尽くした突然死のような倒産が、今各地で起こっています。

大手総合病院も経営難に苦しむ

この病院の経営難は、地方中小病院だけではありません。

それよりもむしろ、東京などの大都市圏にある総合病院に経営難は深刻で、
2018年1月には三井グループをバックに持つ名門三井記念病院が債務超過に陥るなど、
その状況はおもいのほか深刻です。

あの聖路加国際病院も、今や本業での赤字を不動産収入で補填する始末。

つまりこれは、個々の病院の経営力のさや、資金力差などではなく、業態全体がしぼみつつあるという状況であるともいえるのです。

しかし、何度も言いますが、高齢化により患者数、つまりニーズは増えています。

ではなぜ病院経営はこんな窮地に立たされているのでしょうか。

中傷医療機関の現状:病院内の需要と供給が崩れている

経営の基本は需要と供給のバランス。

一般には、社会の需要と自社の供給とのバランスがその基本ですが、
病院の場合は院内でのこのバランスの崩れに大きな原因があるのです。

回転率の悪い飲食店のような状況

どんなに人気にラーメン屋でも、回転率が悪ければ潰れます。

それと同じ様に、病院経営においてこの回転率の悪さという悪循環が、
現在まかり通っているという現状があるのです。

つまり、病院の治療を受けたい患者はいるのに、経営に必要な数の患者にて回っていないということ。

そう、人手不足です。

病院数と病床数と医者の数

世界的に見て日本は病院の多い国です。

OECDHealthStatsの調べによると、100万人あたりの総合病院数はフランス41、アメリカ18、ドイツ40、となっていますが、なんと日本は67と別格。

1000人あたりの病床数でも主要国が10に届かない中日本のそれはなんと13.4とかなり多いのです。

しかし、対して100病床あたりの医者の数は、フランス26,アメリカ26,ドイツ21に対して、なんと日本は11とかなり少ない数値になっています。

患者に対して医者が少ないというアンバランス

これにより、病院と病床数から求められる医者の需要に供給が全く追いついていないことがわかるでしょう。

このバランスが崩れれば、当然、患者一人あたりの医者の数が不足するのは目に見えてきますし、
そうなれば当然医者一人が大勢の患者を見なくてはいけなくなります。

これによって、患者の回転率は大きく減少。

しかも、病床はあるのに受け入れることのできる患者数が少なくなるなど、
経営を大きく圧迫する状況が生まれているのです。

病院は斜陽産業となるのか

それでは病院は斜陽産業となるのか。

次は大手病院の現状について見ていきましょう。

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