病院経営の問題点

医者が資金難に悩む病院経営の危機とは

病院が赤字に転落し、倒産の憂き目に遭う時代。

それは地方の中小病院だけではなく、
都市の大病院と言われるような病院にまで及んでいる、
ある意味業界全体の問題となっています。

なぜ今そんな事になっているのか。
病院業界の危機に関する第2弾です。

前回のあらすじ

・病院の赤字経営や倒産数が増加中(大病院も、赤字経営に転落する病院が出てきている)
・病院数病床数に対する医者不足が病院経営を圧迫(中小病院に顕著)

大手総合病院の百貨店化

今、経営的に非常に苦境に立たされている百貨店。

文字通り百貨集める百貨店は行動経済成長いらい小売業の花形だったものの、
不採算部門の圧迫で経営を縮小、
専門店に対して価格高やサービスの不備などで姿を消しつつあります。

そして、その状況が、大手総合病院にも起こりつつあるのです。

総合病院が抱える問題 不採算部門の存在

専門科の病院は、採算がとれる科に特化できる。対して総合病院にはそれができない。

これはいわゆる百貨店と専門店の争いと全く同じ状況で、
特に、産婦人科、小児科、
救急救命センターを併設する総合病院にとっては、この不採算部門が大きく経営を圧迫しています。

とはいえ、病院の社会インフラとしての側面を考えれば不採算だからといって切り捨てもできません。

こういった不採算部門の圧迫の構図は、まさに百貨店の構図です。

専門病院の活況

総合病院に対して、専門病院は活況を呈しています。

特に悪性腫瘍、眼科、循環器、呼吸器、消化器などの分野は患者の増加が著しく、
需要も高いためここに特化した専門病院の評価は高くなっています。

しかも専門であるということが総合病院よりもより「高度な医療」を受けられるというイメージも確立。

不採算部門を抱えないことで、治療以外のサービスや、
まさにホスピタリティにおいてもしっかりとした手当ができるという点でも大きなアドバンテージを抱えているのです。

大学病院の窮状

中でも大学病院の窮状は、かなり深刻。

総合病院では、それでも社会インフラの一面を考慮しなければ専門特化に舵を切れますし、
大きなマイナスを抱える部門に限って人員削減などもできます。

しかし大学病院はそうは行きません。

大学病院はあくまで教育機関なのですから、
儲からないと言って特定の科を削減したり廃止したりは当然できませんし、
医師不足が深刻なのはそういった不採算部門が中心ですからむしろ力を入れなければいけません。

しかし国立や公立はここに税金が投入されます。

ところが私立医大となると、この状況はさらに深刻になるのです。

悪循環に拍車が掛かる

総合病院、中でも大学病院の苦境はさらなる悪循環を生む。

不採算部門の医師不足は、さらなる不人気を呼ぶ

小児科、産婦人科などの不採算部門。

こういった科は、
総合病院などにおいてまっさきにコストカットの対象となる科だけあって、
その人気は年々さがっています。

そうなれば、とうぜん大学を出た後で、産婦人科や小児科を目指す人間は減り、
産婦人科医や小児科医は慢性的な人手不足となっていくのは必定です。

大学の経営悪化は、医者自体の数を減らす

不人気で不採算な分野はもちろんのこと、
大学病院の経営悪化は医者自体の数を減らす結果を招きます。

それは、つまり診療報酬で賄えない部分に関して、
特に私立医大では、その不足分を学生の学費で補おうとする傾向にあるからです。

もともと安くない私立医大の学費。

その学費が経営悪化によって上昇すれば、
医者を目指したくても目指せない人間の数はとうぜん増えるのです。

苦境の病院経営に打つ手はあるのか

このままでは大変なことになりかねない、病院の経営の悪化。

そんな病院経営の悪化に対して、なにかその状況を変えうる選択肢はあるのか。

次はそのことについて考えてみます。

あの、「イノベーションのジレンマ」を書いたクレイトン・クリステンセンも
「医療イノベーションの本質」碩学舎・2015年

の中でイノベーションの必要性を訴えています。

医療イノベーションの本質

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