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医療機器への工夫で事故を減らす

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責任と権限
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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。

横浜市立大学病院での患者取り違え医療事故について考える:前編

1999年1月11日、日本の医療事故史上大きな意味を持つ医療事故が横浜市立大学病院で起きました。

その内容は、患者を取り違えてしまうことによって、
必要ではない開腹手術を行ってしまったというもので、
そのインパクトはとても大きなものでした。

医療事故

ここではそんな横浜市立大学病院での医療事故をおさらいし、
その内容とそこから日本の医療はどう変わったのか、
また変わっていないのかについて見ていきましよう。

患者取り違えの経緯 手術室までの経緯

まずは患者取り違えの経緯を、病室から手術室まで見ていきます。

2人の患者を1人の看護師が同時に手術室に送り込んでしまう。

まずすべての始まりは、些細な業務上の手抜き。

最初、1患者に1人の看護師が付き添って手術室に運んでいたところ、
搬送途中のエレベーターにのる際に、
1人の看護師が多忙を理由にもうひとりの看護婦に患者を委託しました。

託された看護師は片手に1人づつという状態で患者を手術室に搬送することになりました。

このことで、手術室に搬入された際に『Aさんです』『Bさんです』と個別に申し送りをするのではなく
『AさんとBさんです』と、渾然とした状態で申し送りが行われました。

患者が間違った呼びかけに答えてしまう

次におこったのが呼びかけによる混同。

病棟の看護師から手術室の前室に待機していた看護師に申し送られた際、
Aさんに対して『Bさん』そしてBさんに対して『Aさん』と呼びかけてしまいます。

このとき呼びかけた看護師は、
両方に対して術前訪問をしており顔の認識があると思われていました。

しかも、この問いかけに対して、
どちらの患者も名前の間違いを否定せずに受け答えをしてしまったため、
両患者の顔を知らなかった前室の別の看護師がここで2人を誤認します。

さらに何度か呼びかけミスが続いた後に、手術担当の看護師が再度間違えた呼びかけをしてしまいます。

しかし、それにも普通に返答があったため、手術室に至る前の段階での誤認が確定したのです。

参考までに言いますが、別に認知症の患者さんではありません。

ハッチウェイ方式の落とし穴

患者それぞれのカルテは、ストレッチャーの下に挟んでありました。

しかし、この病院では、手術室に雑菌を持ち込まないという理由でストレッチャーから患者を下ろしハッチウェイ方式というシステムで、
患者の身体のみを手術室に送り込んでいました。
(ストレッチャーというのは、病院で患者を運ぶために使う、車輪付の移動ベッドのようなものです)

これにより、患者本人とカルテが別ルートで手術室にはいることになったのです。

そのため、同時に2人送られてきた患者のカルテは、
患者と一旦話されてしまったせいでそれぞれどちらのものであるのか判別がつかなくなってしまったのです。

それが、結果取り違えにつながっていきます。

患者取り違えの経緯 手術室

次に手術直前の手術室で何が起こったかを見ていきます。

小さな疑問の放置が連鎖する

Aさんは心臓病の患者。

このAさんは、入れ歯を使っていて手術前の諸注意にて入れ歯を外すように指示されていたのですが、
取り違えられていたBさんは入れ歯の使用者ではありませんでした。

当然、手術前の準備をしていた麻酔医は、
入れ歯のはずのAさんに歯がきちんと生えていることに疑問を感じます。

しかし、このとき、担当の麻酔医はこの疑問を放置してしまいます。

そしてなおかつ、この患者にはられているはずのフランドールテープという心臓治療用のテープがないことも気づいたのですが、
その疑問も放置したのです。(フランドルテープは外見上湿布薬のような四角いテープです)

一方、肺疾患のBさんと間違えて運ばれたAさん。

こちらの担当麻酔医は、肺疾患のはずのBさんに心臓治療用のフランドールテープが貼られていたのに気づいたのですが、
そのシールの意味がわからずただはがして捨てるという行為で疑問を封殺したのです。

手術直前も放置され続けてきた小さな疑問

肺疾患でありながら心臓病手術を行う手術室に運ばれたBさん。

このとき、Bさんの顔にはアイパッチやぼうし、
管などがつけられており顔での確認は困難な状態であり、見分けがつかなくなっていました。

しかし2人の執刀医のうちの1人がこのとき、
Aさんに比べ白髪が多く髪が短いことに疑問をいだきます。

ところがここでも、この疑問を「散髪でもしたのだろう」とやはり放置してしまいます。

さらに、異常に高かった心臓内の血圧が正常値であったこと、
心臓の血液の流れを超音波検査でとらえた映像が前回の検査と違っていることも発覚。

しかし、この疑問も医師の1人が肋骨のカタチからAさんと認定します。

検査結果などの疑問点も、
麻酔によって一次的に起こる医学的に説明のつくものだとその場で断定し、やはり放置されました。

このとき、麻酔医が一応Aさんが手術室に入っているか確認を取りました。

大きな病院では1日に何人もの手術を行います。

そのため、一人ではなく、何名かの患者を運んでいます。

当然「Aさんは手術室に降りています』と返答され、BさんをAさんだと最終認定してしまいます。

患者取り違えの経緯 手術中から発覚まで

次に手術中から発覚まで経緯です。

手術中も見過ごされた疑問

心臓病患者のAさんとして始まった肺疾患患者のBさんへの手術。

この手術の最中も、カルテにある書いてある記述と実際の病巣の位置が微妙に異なっていることや、
手術前の予想と異なり心臓の症状が軽いことに疑問をいだきます。

しかし、これも完全にスルー。

またこのとき、自己輸血を行う予定であったため、
事前採取されていたAさんの血をBさんに輸血。

偶然にも二人の血液型が合致していたことで難を逃れた上、
ウイルス感染にもい当たらなかった為大事には至らなかったものの、
一歩間違えば大きな惨事になっていたことは間違いありません。

手術後の発覚

心臓病患者として心臓を手術されてしまった肺疾患のBさん、
そして同じく間違った手術をされたAさん。

患者

この2人は手術後偶然隣の別途に並ぶことになったのですが、
このとき、体重検査で計測されたBさんのデータがAさんと大きく異なることに看護師が気づき、報告します。

そこで、前年までAさんの担当医であった医師が顔を確認しAさんでないとここで認識します。

しかもその隣にAさんとそっくりの人が寝ていたため、
最終的に主治医が確認した上で名前を尋ねたところ、
AさんではなくBさんであることが発覚します。

ここではじめてこの医療事故が発覚したのです。

見過ごされた疑問たち

こうして起こってしまった医療事故。

医療事故

そしてその過程で見過ごされた多くの疑問。
次はそんな切り口から、この事故の原因とその後について書いていきます。

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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。

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