ISO 13485が不要、健康器具の世界

医療機器のグレーゾーン健康器具業界の今後

ここでは医療機器と健康器具について考えます。

さて、医療機器と一口に言ってもいろいろなものがあるのは、
もはや周知の事実ですよね。

正直、このブログの中で何度もお話ししたと思います。
(初めての方には関係ありませんけど)

それこそ家庭で使う一般的な救急絆創膏(バンドエイドとかカットバンとかサビオとか呼んでいるアレです)
も立派な医療機器になります。

絆創膏

しかし中には、あそれは医療機器ではないのか?
といいたくなるようなものもあるわけです。

とりわけ、健康器具と医療機器の境界は曖昧で、
今後大きな問題となる可能性を秘めています。

健康器具の発展と医療機器との類似性

健康器具と医療機器、
そこにはかなりのグレーゾーンが存在します。

健康器具はどんどんと多機能化している

例えばみなさんは万歩計をご存知ですか?

昔は、身体の振動を振り子が感知して歩数を刻むものだったのですが、
今はセンサー内蔵のデジタルが主流で、
しかもこれまでと違って万歩計という器具すら存在しなくなってきました。

カロリーメーター

そう、スマホやスートウォッチなどに内蔵されているんですね。

しかもこの万歩計、今ではただ歩数を計測するだけの機器ではなく、
そこに1日のカロリー消費量なども計測する機能がついてきていますよね。

しかも脈拍や血圧まで出るものもあって、もはや万歩計ではない「何か?」になっています。

健康器具が医療機器の領域に完全に入り込んでいる

しかし、医療機器に詳しい人であれば、ここで首を傾げるはずです。

というのも、医療機器の中には『体動センサー』と言われる器具があって、
実はこれはれっきとした医療機器として販売されています。

まさにこの体動センサーは、この多機能万歩計とほぼ変わらないものです。

また、同じことは体重計にも言えますよね。

昔は体重計といえば『体重を計る機器』だったわけですが、
現在市販されている体重計はむしろ体重だけを計るものを探すほうが困難なほど。

体脂肪、BMIなどいわゆる当たり前のように体組成を計る機器として存在しています。

しかし、体組成計も厳然とした医療機器で、医療機器のクラス2に当てはまるものですよね。

万歩計や体重計をどうするのか

こうなってくると、ここに大きな問題がでてきます。

医療機器として薬機法の縛りの中にある体動センサーや体組成計を作る際のコストと、
健康器具として売られている万歩計や体重計にかかるコスト。

これは言うまでもなくISO 13485等の規格を実施するためのランニングコストも入れれば医療機器のほうが大幅にコスト高になります。

医療機器の場合、許可申請が必要であり、
許可を取るためには試験データが必要です。

逆にだから、効能を謳うことができるのです。

健康器具は、その効能を表示することはできません。

だいぶ前ですが、ニンテンドーさんが「Wii」というゲーム機を医療機器にするかどうか、
車内で問題になったことがありました。

医療機器になれば、Wiiの体操ゲームで健康の維持ができることを表示できるのです。

ただし、その証拠をPMDAに提出しなければなりません。

ゲーム機のままであれば、そんなものは不要です。

詳しくは、どうなったのか分りませんが、
新聞の記事の中にそんな話が載っていました。

しかし、いかに医療機器認定を受けていなかったとしても、
結果割安になるだろう健康器具のほうが需要は高くなるはずです。

しかし、これでは真面目に法に従っている人間が馬鹿を見ているような状態です。

かなり迅速な是正が必要です。

多機能化した健康器具は医療機器であるべき

多機能化した健康器具、それは医療機器でなくてはいけません。

日本の体重計は韓国では売れない

例えば日本の体脂肪率を計る体重計の一部は、韓国では販売できません。

体重計は医療機器?

なぜなら答えは簡単なはなしで、
体脂肪を測ったりする体組成計は韓国では厳然と医療機器なため医療機器としての基準に適合していないと販売できないんですね。

これは韓国だけではなく、
きちんとした医療基準を厳格に運用している国はどこでもそうです。

そして、それが当たり前なんですね。

医療機器が規制にうるさいのは訳がある

医療機器は人体に関わるもの、言い換えれば命に関わるモノです。

だからそこに大きな規制があり規格があり、
徹底したリスクマネジメントを行う必要があるためISO 13485やQMS省令が存在します。

しかし、健康器具が医療機器と同じことのできる機能を持っても、
そこにそんな規制も規格もありません。

そこに、命を守るためのリスクマネジメントは存在しないのです。

医療機器後進国にならないために

日本の健康ブームは他の国とはかなりレベルの違う活況を呈しているものです。

しかし、そのブームが呼び起こす経済効果にとらわれて健康器具と医療機器の間のグレーゾーンを放置していくようなことがあれば、
世界的な日本の信用は失墜しかねません。

それこそ、医療機器の後進国扱いとなってもおかしくはなのです。

医療機器業界の今後のためにも、こういった規制が早くなされることが望まれます。

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