医療のIT化のデメリット
今後医療のイノベーションの中心になるだろうヘルステック。
医療機器を始め、
医療のあらゆる分野と情報関連技術いわゆるITを融合させることによって様々なコストカットと利便性を高めるこの動き。
まさに2025年問題を抱える日本の医療の救世主!
とばかりはいっていられない事情もあります。
ISO13485への対応だけが大事なのではありません。
そこには大きな落とし穴があるかもしれません。
ヘルステックの問題はそのままIT化の問題点
ヘルステックは医療技術のIT化。
ですからその問題点もやはりIT課の問題点と同じものになってきます。
個人情報の取扱はどうなるのか
ITのデメリットと言うとまさにこれが問題であるように、ヘルステックでもやはり大きな問題はこれです。
IOT化された医療機器や、電子カルテ及び電子処方箋によって、
患者さんのデータが共有されることやビッグデータとしていかされることは、確かに医療にとってプラスです。
しかしそれは、翻れば閲覧権限のある人(主に医療重視者や技術者)にその情報が素通しになるということ。
特に、病歴や身体的な内容というのはプライバシーにおいても最も慎重に扱うべき分野ですので、
大いに議論が必要なものです。
セキュリティ問題
これも大きな問題です。
これについては次に詳しくやります。
ヘルステックのセキュリティ問題は根の深い問題
ヘルステックのセキュリティ問題。
これは、個々人が気をつければいいというような簡単な問題ではありません。
ハッキングによる被害は甚大
従来ヘルステックのセキュリティといえば、ハッキングによる情報漏えいや改ざんでした。
しかし、いま、現実に問題となっているのはそのような簡単なものではなく、
特にIOT化された医療機器においてはハッキングによって外部の人間が勝手に操作できる恐れがあるのです。
これは世界中のIOT関連のシンポジュームなどで指摘されていることですが、
IOT化されたペースメーカーや除細動器をハッキングによって誤作動させることは可能だと言われています。
また、致死量の薬物をハッキングで投与することが可能だとしている研究者もいるのです。
在宅で医療サービスを受けている人に、
「薬が変更になりました」と言って、新しい薬を届け、
投与する量を10倍で指示すれば、疑わない人はそのまま信じて飲むかもしれません。
情報漏えいの規模も国単位になる
最近話題となったファーウェイの問題。
これは、一説にはファーウェイ製の端末にバックドア(情報を盗み出す裏口)が中国政府(人民解放軍)によって仕掛けられていたことが原因だとする研究者もいますし、
アメリカ政府の見解もこうなっています。
つまり、医療情報についてもそこにファーウェイの端末を介していれば盗まれる可能性はあったということ。
それこそ、アメリカ製の端末や機器にもバックドアがあってその情報が政府に筒抜けであるという人もいますし、
その疑惑は確認のしようはありませんが深まるばかり。
このようなものの中に、医療という分野が組み込まれてもいいのか?
そこには、しっかりとしたコンセンサスが必要なのかもしれません。
ヘルステックを支える人たちのスキル
有能な医療従事者が有能な情報関連技術の技術者とは言えません。
また、これまで実績を上げてきた医療機器製造会社がヘルステックに手を伸ばした時に、
その企業は医療機器に関しては熟練かもしれませんが情報技術においてすぐれているわけではありません。
それこそ不具合時の対処や、初期設定、その他様々な場面での混乱は容易に想像がつきます。
ただ、これは逆もまた然りで、IT業界が医療機器に手を伸ばした場合は逆の説もまた成り立ちます。
ご存知のとおり、医療機器はISO 13485やQMS省令などで厳しくリスクマネジメントが規定され、
また業許可や承認などによってしっかりと管理されています。
これは命を扱うものである以上当然です。
しかし、そんな省令や規則がヘルステックに適応しているとは言えない現状と許認可を出す側にITに関する豊富な知識が求められるなど問題も山積です。
現在の医療機器に関するリスクマネジメントには、
情報セキュリティ対策は含まれていないと言って良いと思います。
一部の、ソフトウェア医療機器では対策も取られていますが、
他ではほとんど皆無です。
正直、ハッキング技術のある人に取っては、
鍵はないと同じです。
ヘルステックは不可欠だが注意は必要
ヘルステックは今後の医療においては不可欠です。
また医療機器メーカーや製造販売業者も、
ヘルステックの分野を積極的に取り入れていかないと今後の過当競争の中で利益を出していくのは難しくなるでしょう。
しかし、同時に、そこにしっかりとしたスキルと知識を身に着けておくこともまた、重要なことなのです。
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