2040年問題① 2040年問題と医療の危機

2040年問題① 2040年問題と医療の危機

少子高齢化による人手不足が深刻化するとされる2025年問題。

それはかなり厳しい統計によって導かれた日本の喫緊の課題ですが、
実はそれですら日本の危機的状況の序章に過ぎないと言われています。

そして、その本番とも言えるのが2040年問題。

遠い未来のように思われますが、20年先でしかない話。

2040年の日本は一体どうなり、
医療はそこでどんな転換期を迎えるのでしょうか。

2040年問題とは

2040年問題とは、
まさに日本の国家の存亡に関わる大きな問題です。

2040年、高齢者は現役世代とほぼ同数に変わる

国立社会保障・人口問題研究所の2017年の推計によれば2040年の日本の人口は1億1000万人。

日本の人口推移

もちろん、その低水準の人口も大きな問題ではあるのですが、
それよりもなお深刻な事態に陥るのが現役世代等高齢者の比率。

なんと、2040年には1人の現役世代に対して1.5人の高齢者という比率になるのです。

つまり、高齢者の数が現役世代にかぎりなく迫ってくるということなのです。

比率では語れないさらなる深刻な状況

しかし、比率だけを見ていては2040年問題の本当の闇は見えてきません。

というのも、同じ統計によれば高齢者だけの比率でさえもその3割が80歳以上の高齢者となり、
高齢者内の高齢化までも進んでくるからです。

しかも現役世代は、終身雇用に守られた世代ではありません。

貧富の差は拡大し、雇用の不安定さ、収入の格差はどんどんと広がっていくと予想されていますから、
単純に1:1.5に比率以上の厳しさがそこに生まれます。

女性の雇用などといった付け焼き刃の対策も、この頃には無意味です。

地方格差で地方が崩壊し始める

さらに輪をかけて深刻なのが地方格差。

日本創成会議によれば、2010年から2040年の間に出産年齢の女性が5割以上減少する自治体、
いわゆる消滅可能性自治体が896に達すると言われているのです。

しかもそれは、ほぼ地方の自治体にのみ起こる減少。

現役世代は大都市圏へと流入し、人工の減少は加速度的に進むうえ、
子育てには向かない大都市に出ていった現役世代は出生率をさらに下げて行き労働力は不足する。

そして、労働力不足はさらに地方の現役世代をスポイル。

まさに、悪循環としか言いようのない時代がやってくるのです。

医療は少子高齢化に浮かれていていいのか

医療業界にとって少子高齢化はむしろプラス。

しかし、いつまでも浮かれていていいわけではありません。

適度な少子高齢化は歓迎要因

適度なという言い方が適切かどうかはおいておくとしても、
少子高齢化は医療業界にとってはむしろプラス。

というのも、医療という業界にとって主なニーズの形成は高齢者にあることは言うまでもなく、
そのニーズの中心層が増えれば当然業界は活性化。

また、少子高齢化問題の中心が高齢者医療であることも手伝って、
国家の支援や業界の支援によるイノベーションも、まさに追い風の状態になるのです。

ですので、2025年問題は、むしろ医療業界にとってはバブルのようなもの。

しかし、2040年問題まで、その中で浮かれていることはできないのです。

医療費は節約に転じる

高齢者を支える現役世代の減少と弱体化が進んでいく2040年問題。

それは言い換えれば、
高齢者が医療にかける支出を絞らざるを得なくなる状況が訪れるということになるでしょう。

間違いなく、国も社会保障の減額を打ち出すはずです。

それは、保守、リベラルなどといった政治的イデオロギーの垣根に関係なく、
そうしなければ国の財政がもたないという切実な理由ですので、
政治体制によってはそうならない、ということはないでしょう。

つまり、高齢者が増えても、医療費は増えないという状況です。

それは、ニーズの中心層が増えても利益につながらないという、
一般的な経済から見ても危機的状況です。

現役世代は医療も支えている

そして、単純に現役世代の減少は医療現場にも大きなマイナスになります。

専門的知識を持った医師の減少、看護師の減少、
各技師や専門家の減少、それを支えるスタッフの減少。

それだけではなく、医療機器の製造販売、医薬品業界など、
製造業や販売業に関わるような人、開発や進歩の根本を担う人材さえも減っていくのです。

そう、つまり、2040年問題レベルの少子高齢化は、
医療業界とはいえ蚊帳の外ではないのです。

まずは2040年を見つめよう

医療業界にとっても2040年問題は危機的状況。

確かにこれからニーズが高まり、業界全体にとっては好機を迎える医療業界ですが、
だからこそ、その後に待ち構えている危機に対して常に目を配っていく必要があります。

2040年、自分の携わる医療の現場はどうなっているのか。
自分たちの仕事にはどういう変革が求められ、
何を目指して今後の発展を捉えていくべきなのか。

他の業界と違って、2040年問題の手前に、
少子高齢化だからこそもたらされるチャンスを経験できる医療業界だからこそできることもある。

そういった長期的な視野を持つことで、
今後の医療業界は来たるべき時代に備えていかなくてはいけないのです。

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