DTx:デジタルセラピューティクスとは

スマートホンの進化は止まらない、DTxという可能性

今や一人に一台どころか複数持つ人も増えているスマートホン(以下スマホ)。

もはやスマートホンナシの社会生活などは考えられず、
また、スマートホンさえあれば大抵のことはすんでしまうという便利さを内包しつつある便利な危機です。

そして、その進化は、さらに進んでいます。

その進化の一つとして、
今後注目を浴びる可能性が高いのが今回紹介する「DTx」ことデジタルセラピューティクス。

これこそ医療機器を新たなステージへの変化をもたらすものです。

DTx:デジタルセラピューティクスとは

ではまず、このDTxとは何かを見ていきましょう。

日本語に訳すとデジタル治療

デジタルセラピューティクスとは日本語に訳すとデジタル治療となります。

これは、スマホなどモバイル端末にアプリなどのソフトウエアをダウンロード、
それを活用することで患者の様子をリアルタイムでデータ化し治療することをいいます。

こういうと、データの収集だけがアプリの仕事で、
あとはそれをもとに医者が治療するようなイメージでとらえられるかもしれませんがそうではありません。

じつは、アプリそれ自体が、治療の補助をする、という方が正しいのです。

DTxによる禁煙支援アプリ

現在、日本においてニコチン依存症治療のためのDTxが実用化に向けて動いています。

ベンチャー企業であるキュアアップは、
このDTxに含まれるニコチン依存症を対象とした治療アプリを開発しているのです。

このアプリでは、それこそ、ただのデータ収集にとどまりません。

使用者の気分や服薬情報をデータとして入力、
呼気中の一酸化炭素濃度などをもとに個人にカスタマイズされた禁煙支援のガイダンスを流すなどの機能を持っています。

同時に、この情報を医師とも連携。

治療そのものに、
アプリが参画するという形をとっているのです。

デジタルデバイスが治療そのものを行う

このDTxは、いわゆる健康増進アプリとは違うものと定義されています。

いわゆる脈拍を計測したり、万歩計の役目を果たしたり、
服薬情報の管理を行うアプリではなく、治療そのものに参画するアプリだということです。

今はまだあくまで医師のサポートであり、
限りなく健康増進系のアプリと似通った部分はあります。

しかし、今後5Gの時代を迎えこのままITの進歩が止まらず、
AIによる加速度的な確信が起こっていけば私たちはスマホに医者を入れて持ち歩く時代を迎えるかもしれません。

そんな可能性を秘めているものなのです。

米国では実用化が進んでいる

そんなDTx米国では当然のものとして社会に進出しています。

2010年にはすでに登場していた

現在日本では、2020年に新しくDTxが実用化されるかもしれないという段階です。

しかし、アメリカでは今から10年前の2010年には2型糖尿病患者向けのBlueStarというアプリが向上しており、
当然当局からの承認も得ています。

このアプリは、
バランスの良い食事や運動の動機づけなどの教育的メッセージを発する機能を搭載。

医薬品で血糖値を下げるのと同等の効果が見られたとする医師もいるほどの効果を見せました。

DTxベンチャーが数多く存在する

2010年に実用化された「BlueStar」

この成功を受けてアメリカでは数多くの企業がDTx市場に参入し、
またさらに多くのベンチャー企業が登場するという状況になっています。

これには政府も積極的でFDA(アメリカ食品医薬品局)も開発ガイドラインを公表。

結果、ぜんそく患者向けの物や、アルコール、コカイン、マリファナ、
などの薬物依存から立ち直るプログラムの補助機能を持つものなど様々なアプリやソフトウエアが登場。

合計145億円の資金を調達するに至った企業まで出てきています。

大手企業による提携も増えている

医療に限らずこういったソフトウエア開発及びベンチャーにおいて良くあるのが大手の介入。

というと日本人的な感覚であれば、なんとなくマイナスイメージを持ってしまいそうですが、
実はアメリカではあたりではベンチャーそのものの目的ともなっています。

つまり、開発したものを大手企業に売ることで利益を得るという形です。

この形が生まれてくると、一般的にはそのベンチャーは成功したということになり、
その分野は発展しているという見方ができるのです。

そしてDTxもスイス・ノバルティスなどが興味を持ち提携を結ぶなど、
業界発展の典型的な様相を見せています。

日本では始まったばかり

DTxの開発、日本では始まったばかりです

DTxの薬事承認を目指している

日本においてDTxの先駆けとなろうとしている、
最初に紹介したニコチン依存症用のピュアアップ

DTxを健康増進アプリやヘルスケアアプリと同じものとしないためにも、
現在臨床データなどをそろえて薬事承認を目指しています。

つまりキュアアップはアプリの保険適用を目指しているということ。

まさに、医療機器業界のど真ん中に存在していこうとしているのです。

大手製薬会社も注目している

このDTxの開発には大手製薬会社も当然注視しています。

2010年にアメリカのDTxの先駆けとなり、その後の業界発展のきっかけとなったBlueStarに対し、
アステラス製薬が日本や一部アジアでの製品化契約を結んだと2019年末に発表したのです。

これにより、アメリカから10年は送れたものの日本にもこのアプリが登場することになります。

そうなれば、さらに多くのベンチャーをはじめとした企業がDTxに注目すること、間違いありません。

大手企業による国への働き掛けも

2019年10月。

DTx開発を手掛ける企業によって「日本デジタルセラピューティクス推進研究会」という会が発足しました。

そのメンバーは、アイリス、アステラス製薬、塩野義製薬、田辺三菱製薬、
帝人ファーマなどそうそうたるメンバーとなっています。

またこの会は、DTxの規制や承認に対する政策提言も行ています。

このことからも、今後日本におけるDTx開発は相当ホットな市場と言えるでしょう。

スマホが医療機器になるかもしれない未来

DTxの進化は、それこそスマホが医療機器へと進化するかもしれないという意味を持っています。

それは、医療機器業界が参画する分野の加速度的な広がりを意味しているともいえるのです。

一人に一台、医療機器をもって人が出歩く時代。

それは、医療機器業界にとって暗い未来であろうはずがありません。

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