アビガンはどうなってしまうのか①


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アビガンはどうなってしまうのか①脚光を浴びた奇跡の薬

テレビや新聞のニュースでアビガン(一般名・ファビピラビル)の名前を聞かなくなってずいぶん経ちます。

一時期は夢の新薬であったり奇跡の薬のように持ち上げられて、
これを推進する政治家がいい政治家のようにさえ思われていた薬。

しかし、本当に一夜の夢のようにその存在はかき消えたといっても過言ではありません。

しかも、いわゆる後日談すら聞こえてこない始末です。

いったい、あの夢の薬アビガンはどうなってしまったのか。

これまでの経緯を含めて、アビガンの今と今後を考えてみます。

期待の新薬アビガンと、期待外れの現実

まずはアビガンについて、コロナ以前の経緯を見ていきましょう。

期待の新薬アビガンの誕生

新型コロナウイルスのまん延で一躍脚光を浴びたアビガン。

あまりよく知らない方や、ニュースなどを見ない人にとってみれば、
まるでコロナ対策で生まれた薬のように思われるかもしれませんが、そうではありません。

アビガンはもともとインフルエンザ治療薬として旧富士化学工業(現富士フイルム富山化学)が開発した新薬。

いわゆる現在の主流になっているタミフルが耐性ウイルスを生じやすいのに対して、
アビガンは薬理的なメカニズムの上では耐性ウイルスを生じにくいという特徴を持っていました。

つまり、その薬はインフルエンザの画期的な新薬として誕生した薬なのです。

アビガンの副作用と失墜

耐性ウイルスを生み出さない新薬として注目を浴びたアビガン。

ところがここで大きな問題がクローズアップされます、それが副作用です。

アビガンの副作用、それは、「初期胚の致死並びに催奇形性の確認」というもので、
簡単に言えば妊娠障害や奇形児の誕生を危惧される副作用でした。

しかも、それは両性において該当するというものです。

これによりアビガンは医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認を申請したものの、
3年というかなり長期にわたる審査期間のすえ「他の抗インフルエンザ薬で効き目がなかったときのみ」という条件付き。

それは事実上の利用禁止ともいえるもので、
とても、期待の新薬といえる結果にはならなかったのです。

アビガンの冬

こうして、期待の新薬として誕生したアビガンは言葉通りの期待外れに。

しかし、製造開発元であった旧富士化学工業はこの期待の新薬アビガンの開発に多額の資金を投じて開発していたため、
それはただ期待外れでは済まない結果となります。

結果、旧富士化学工業は富士フイルムにTOB(株式公開買い付け)を受け非上場子会社化。

その後、アビガンは一時的にエボラの治療薬として注目を浴びるものの、
それも長続きすることはなく、長らく時代の陰に埋もれる薬となったのです。

この間、特許が消失したもののジェネリックも出てこないという惨憺たる有様でした。

突然のリバイバル、再び期待の薬へ

期待外れの新薬として社会の陰に埋もれた新薬、アビガン。

その名まえは、新型コロナウイルスの流行という出来事の前に突如復活したのです。

中国からの報告にアビガンの名が

新型コロナウイルスのまん延、
この世界的緊急事態においてアビガンの名前が初めて登場したのは中国です。

2020年2月4日にネイチャー誌の姉妹誌において中国科学院武漢ウイルス研究所の発した速報論文において、
新型コロナウイルスに対する一定の効果が認められると発表されたのです。

また2月13日には中国科学技術部が臨床においても効果が認められたと発表。

さらに2月25日にも同様の発表がなされたことによって、
一気にアビガンに対する注目が世界から集まるという結果になったのです。

ここから、アビガンのリバイバルヒットともいえる復活の兆しが始まります。

アビガンに対する日本政府の熱い期待

とうぜんこの報告は日本政府にも届き、そして大いに熱狂させる結果となったのです。

というのも、まずはこの新型コロナウイルスに関して有効な治療方法が
確立されておらずとうぜん治療薬も存在しなかったこと。

そして、何より、それが国産薬であったことがその大きな原因であると考えられます。

これにより、政府は2月22日にアビガン投与を推奨する方針を決め富士フイルム富山化学に増産を依頼するという、
異例のスピード対応を行います。

3月28日には安倍総理が正式承認と増産に向けて動いていることを会見で明言しました。

一度は歴史に消えたアビガンが、
日本政府の後押しとともに一気に日本国内で注目される薬となったのです。

民意を得て加速するアビガン人気

これにより、アビガンは一躍国民の最重要関心事へと上り詰めます。

もちろんそこには日本国政府の前のめりな姿勢も大きな原動力として存在しましたが、
何よりマスコミによる盛り上がりがその大きな後押しとなりました。

どこのチャンネルに回しても「何故アビガンを投与してくれないのか」的な論調だったのは記憶に新しいところです。

さらにそこに野党や各地の知事が参戦。

それに沿うように政府の対応も時間を短縮して行われるようになり、
3月28日の総理会見などによって、日本では秒読み感すら漂い始めます。

しかし、ここで様相がまた変化するのです。

アビガンの今と今後は次回

では、その後、アビガンはどうなったのか。

なぜ、その名前を再び聞かなくなったのか、
そして今後どういう展開があるのか。

次回、見ていきましょう。

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