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『封鎖』:仙川環

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『封鎖』:仙川環
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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。


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今だから読むべき傑作。仙川環『封鎖』

コロナウイルスのパンデミックの脅威がいまだ消えない世界と日本。

GOTOで、旅行を推奨しながら、
休日の外出は控えろと、何をしたいのか分からない政府の対応も困ったモノです。

コロナウイルスの蔓延を防ぐための方策と、個人の自由や人権との間で揺れ動くさまは、
これまで日本人が経験したことのない事態を引き起こしています。

しかしながら、こうしたことへの予見は科学者には難しいところ。

と、同時に、政治家や評論家では、
感染症の恐ろしさやその脅威は同様に見えにくいものです。

そこで今回読み解くのは医学系修士課程卒業という経歴を持ちながら、
小説家でもある仙川環さんの『封鎖』です。

そこに描かれているのは、科学者の目で見た感染症の恐怖と、
小説家の目で見た人間の姿でした。

まるで、いまの日本の状況を予測していたかのような内容に、
今だからこそ読むべき作品として紹介する価値のある傑作です。

まあ、新型コロナウィルス感染症は、
強毒性の鳥インフルエンザとは全く異なりますが、
そこは気にせず小説を楽しんでください。

山奥の山村で起こる悲劇

すべての発端は、山村の集落で起こる一人の老人の死。

抗ウイルス薬の甲斐なく亡くなった一人の老人の死は、
そのサンプル検査の結果N5H1型、
強毒性のインフルエンザ亜種であることが判明します。

つまり、いわゆる鳥インフルエンザが人間へと感染した例として認められたということ。

しかも、感染者が重症化までの時間が短く、
血を吐いて亡くなっていることなどからその脅威の度合いは高いものと判断され、
しかも犠牲者はその数を増やしていく。

そして、その山村は人知れず封鎖という憂き目にあっていくのです。

小説についての総評

小説について言えば、かなりよく出来た作品だと言えるでしょう。

仙川さんの作品は、ほぼ全て読んでいますが、その中でも屈指の作品です。

人間観察の洞察眼が鋭く、そこに医学の専門知識に基づくエビデンスがしっかりしているのが本著の特徴で、
しっかりとした納得感とともに話が収束していきます。

人間模様のリアル

この作品において双軸として存在するのが『村民』と『医者』です。

この2つの登場人物群のそれぞれの人間が、
立場ごとに発する言葉やそれに基づく言動が非常にリアルで身につまされる物となっています。

とくに、山村という閉鎖空間における人間性の描写が巧みで、
ひとつの大きな味付けとなっています。

また、医師たちのポリシーに基づく考え方の違いや行動原理の相違の中に見える、答えのでない善悪。

コレも、リアルなものとして胸に迫るものがあります。

説明臭くない描写

医学系の小説によくありがちなのが、無駄に説明くさい描写。

専門の人やそこに造詣の深い人、興味関心のある人ならばいいのですが、
小説を物語として楽しみたい人間には非常に邪魔なものになりがちです。

しかし、本著は、その医学的エビデンスがしっかりしているにも関わらず、その説明が自然。

無理な流れの中に強引に詰め込んだような説明描写がなく、
自然の会話の中に違和感なく登場します。

これは、仙川さんの小説全体に言えることですが、
その小説も、会話の中で自然に医学的な説明があり、
物語を追う上で読書の邪魔になりません。

これはこの手の小説の中では、かなりポイントの高い長所です。

現代日本の縮図

この小説。もちろん単体でも非常に面白い小説です。

しかし、やはりどうしても頭によぎるのが、
今の日本の現状とのクロスオーバーです。

まさに『今読むべき小説』です。

リアルが小説に追いつく

この小説の良さに、リアルな描写があると書きました。

そのリアルさの証明となるのが、小説内で語られるセリフや、
そこに生きる人たちの困惑の様子。

簡易検査を受けるシーンひとつとっても、検査なしに入院させてくれと頼むもの、
家から感染者を出したので診療所まで行くことが出来ないと訴えるもの。

医師に対する不信感、検査に対する不信感。

その姿は、このコロナ禍において報道等で見たことのある姿。

そう、リアルに迫った描写が、リアルを追い越し、
その描写にリアルが追いつくという稀有な事例なのです。

今日本が迫られている「正しさの選択」がここにある

本作の主なテーマは、人によって感じ方は違うかもしれませんが「正しさの選択」にあると考えています。

本作に登場する人たちは、感染症という恐怖の中で、
それぞれがそれぞれに自分のポリシーに従った正しさをもとに行動を開始します。

そしてそこに生まれる、葛藤、軋轢、そして最後の事件。

一見極端に見える意見にも、そこに確かな正義と説得力があり、
そもそもこの作品のタイトルでもある人権や国民の自由を阻害する『封鎖』にもうなずきたくなる意味がある。

作者は、今の日本を未来視でもしていたんじゃないか。

そう思えるほどに、コロナ禍にある今だからこそ感じられるひりつくような緊張感がそこにあるのです。

これからを見通すためにもぜひ読んでほしい

小さな村落で起きた、感染症事件。

その事件を、時に人間の目線で、時に俯瞰で捉えたこの小説に存在するのは、まさに今の日本の縮図。

そして、最後までたどり着いたときに、この本を読んだ経験というものが、
私達が今後生きていく時代への大きなヒントとなることに気付きます。

『一度地獄を見た人間は、立ち直ったら次のステージに否応なく進む』

物語の最後で語られるこの一言。

それは、いま、コロナウイルスという地獄の中にいる日本人にとって、呪いでもあり福音ともなる。

そう感じさせられた、一冊です。
ぜひ、楽しんでください。

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