COVID-19
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2018年版医療白書を読む 第1部第1篇『医療ベンチャーが目指す次世代ヘルスケア』
まだコロナの影が存在しなかった頃の日本。
そのことを頭においた上で、その当時、日本が一体どのような医療の未来に対しての展望を抱いていたのか。
2018年版医療白書第1部第1篇『医療ベンチャーが目指す次世代ヘルスケア』においては、
ITを活用した今後の医療に対するベンチャーの貢献について書かれています。
その最も大きなテーマが、医療の進展にベンチャーがいかに貢献していくのか。
そこに焦点が結ばれています。
総論としての傾向
本編は西村周三氏司会による対談形式になっています。
対談の相手は池野文昭氏(MedVenture Partners株式会社取締役)
佐竹昇太氏(株式会社キュア・アップ社長)
石見陽氏(メドピア株式会社CEO)
高尾洋之(東京慈恵医科大学准教授)の4名。
その大きな総体としての内容は、ITやデジタル技術による大変革と言うより、
デジタルが医療のサポート的な役割に終止している印象です。
ただ、それでも、現実問題、医療の課題に対して相当な効果がある。
そういった論点となっています。
大テーマとして存在する医療費
本編の大テーマの一つは医療費。
年々増大してく医療費という現実の中で、
一体どのようにIT技術が貢献できていゆくのか。
そこに大きな問題意識が集約されています。
ゼロ次予防という考え方
本編で池野氏によって言及されているゼロ次予防。
ハイリスクな患者さんを病気にしないという1次予防、再発を予防する2次予防、
病気にかかっている患者を社会復帰させる3次予防という医療における3つの予防の先にあるゼロ次予防。
つまり健康な患者を病気にさせないという考え方が、
医療費とデジタル技術において最も肝になる考え方であるように思えます。
本編を読む限り、やはり治療より予防という観点がITにとっては得意分野なのです。
一般人がすぐに使えるという予防における利点
全体を通して感じるのは、IT技術というものの簡便性。
すぐ患者という名の医療知識のない市民のそばに存在し、
使い方が簡単で、また常にその状態を確認できる。
いわゆるアプリであったりウエアラブルという状態の利点こそが、
予防医療において、常に意思や看護師がそこにいて監視できている状況を再現できるという点。
この利点を利用した、患者を産まない社会というものにデジタル化の目的の大きな一つが存在しています。
費用対効果に優れた治療モデルの実現
もう一つポイントになるのが費用対効果と新しい治療の形。
ITの持つ即時性やデータ収集の有用性をもって、
医療現場の治療に大きな進展を期待するといった観点ですが、
そこに存在する問題もまた浮き彫りになっています。
DtoDによる新しい医療
IT技術、デジタルの特徴としてやはりそこには即応性とデータ収集能力は欠かせません。
本編では、そんなITやデジタルの持つ特徴を生かした新しい医療、特に医者間の情報の共有、
つまりDtoDによる新しい医療の可能性が言及されています。
例えば地方医による専門医、もしくは都市部の最先端医療へのアクセス。
即座に交換できるデータ、
集積し統計的に管理されるビックデータなどによって生まれる新しい治療。
デジタル化がもたらす新しい医療の形です。
費用対効果という大切な観点
DtoDによる医療にも関わってきますが、そこにある費用対効果という考え方。
本編内でも言及されていますが、
人命をお金で計るという行為に忌避感のある日本人にとってはあまり気持ちの良いものではないかもしれませんが、
今後の医療においては大切なもの。
他の分野ではコストカットにITやデジタル技術が使われるのが当然である現代に、
医療の世界では未だそれが「論じられている」段階であることは不自然であり不幸なこと。
この費用対効果に2018年の医療白書で言及しているという現実が、
医療界の遅さと医療というものの難しさを感じることが出来るでしょう。
決め手となるのは国民の意識
IT技術やデジタルは、ひとによっては人間味を感じないものと映るものです。
そんな中で、結局は人間の意識、特に国民の前向きな意識の中で改革していくべきことなのでしょう。
デジタルに管理されるという忌避感
医療というのは健康な人間には関係ないという感覚。
この感覚は、予防医療という観念が育ってきた今、
忌避感は少なくなって来ましたがこの管理をデジタルが行うということへの忌避感は少なくないでしょう。
ウエアラブルIT危機によるAIに管理されるという現実。
健康であるにも関わらず、
人間ではないものに健康を管理されるという事実の前に嫌悪感を感じる人がいてもおかしくはありません。
しかし、予防医療においてこれは重要なポイント。
次世代ヘルスケアにおいて避けて通れないポイントです。
医療ベンチャーという試みへの忌避感
ベンチャーというのはある意味「試み」の連続の上にあります。
しかし、医療である以上そこには人間の命が関わってきますし、
医療であることから国の支援なども期待できるものでもあります。
となれば、国民は、特にマスコミはそこの分野への「試み」をどう支持するのかがポイントです。
命を預かる医療の費用対効果しかり、
国費を用いた事業における「失敗」に対して国民がいかにその意識を変容させて寛容に受け止めることが出来るのか。
揚げ足取りの得意なマスコミの扇動に耐えうるのか。
今後の発展に大きく関わってくるポイントと言えます。
デジタル化された医療をあたりまえと思えるのか
本編において感じることは、デジタル化された医療を国民がどう受け止めるのか。
それを「あたりまえ」であると認識できるのかにその全てはかかっているように感じます。
今後の医療を考える上で、その変革に順応できるのか、そこに注目が集まると言えるでしょう。
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