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2018年版医療白書を読む 第1部第2編第1章『デジタルがもたらす未来医療の変革』
デジタルによるイノベーションは、すでに様々な分野で起こっていること。
いわゆるITかというものが当然のものとして存在する社会にあって、
立ち遅れている感のある医療分野のデジタル化。
そのデジタル化を行うためにはなにが必要でその結果どういう未来が訪れるのか。
本編ではその点に関して論じられています。
総論としての傾向
本章は後藤良平氏(ATカーニーパートナー)によって論述されております。
内容としては、IT化による医療界の変化、
もしくはそれがもたらすであろう社会の変化の未来予想と、そのための課題などについてです。
ただ、個人的には、
これはすべての業態のIT化がたどってきた道に思えて仕方ありません。
医療という観点で語られているという点以外に目新しさは感じません。
医療のデジタル化もたらす未来の展望。
ここで述べられている医療のもたらす未来の展望。
確かに、現実においてはかなりの進歩に見えますが、
個別によく見てみれば他の分野でのIT化を医療のフィールドでなぞっただけのもの。
感じることは、医療という分野の進展の遅さです。
ITとともにある日常
未来予想の中で強調されるのは、ITとともにある日常。
医療をフィールドとした様々なサービスが常にそばに存在し、そして単一ではない多方面においてそのサービスを享受できている日常です。
リモート診断、ビデオチャット、AIによる判定、SNSの利用云々。
これらによってデータが統合され、常に健康に留意し、医療を継続的に受けられる社会というものを想定し、未来の医療の形とされています。
しかし、そこに、目新しさを感じるでしょうか?
意図せず閲覧データから消費動向に応じた広告が表示される現代に、です。
医療のデジタル化がいかに遅れているかを知る
2018年版の医療白書で、
こういったものが未来に医療として紹介される(本章内では2030年モデルとして)
このことからわかること、それはいかに医療のデジタル化が遅れているのかということです。
2021年の現在、いや、2018年当時であっても、
他の分野において上記に記したようなことを「2030年の未来モデル」として示した場合、どんな反応があるのか。
言うまでもなく「今更」感の拭えないものとなってしまうでしょう。
デジタル化を成功させる秘訣とその障壁
次に、本章で述べられているデジタル化へ至る秘訣とその障壁です。
つまりいかにすれば医療のデジタル化を達成できるのかという観点とその際にあるだろう課題についてなのですが、
これもやはり他分野が通ってきた道をなじるだけのものです。
4つの秘訣のあたりまえ感
ここで述べられている4つの秘訣
①ユーザー目線
②個別疾患を超えたアンメットニーズ
③既存インフラとの統合
④コストではなくサービスの生み出す価値への転換
①のユーザー目線はいわゆるユーザビリティ。
②に関しては、医療独特の言い回しになっているものの、つまりは「特定のサービスからその関連サービスへ派生させる新サービス」とほぼ同義で、いうなれば新しいニーズの発掘。
③の既存インフラとの統合はポータルサイトや配信サイト、サブスクで当たり前に行われているもの。
④に関しては、IT上のデジタルサービスにおいて様々な角度から実践されています。
つまり、ここで挙げられているデジタル化医療において成功する秘訣は、もはやあたりまえのことなのです。
2018年にこれが秘訣として提示される現実は、少しめまいがしそうなくらいの遅さです。
課題についてもやはり遅さを感じさせる内容
後半、今後の課題も提示されているのですが、これももはやあたりまえの領域。
各論をつぶさには見ませんが、つまりはいかに財源を生み出し、
価値を創造し、そしてそれによってカスタマーの行動変容をもたらすのかという内容です。
これは、いうまでもなく、様々な分野ですでに終了している分野。
音楽、ゲーム、映像、データ管理、システムソフト、そういった様々な分野では、
これまでにない財源を生み出し、価値を創造し、カスタマーの行動変容をすでに形成しています。
2021年の今であればもはや認識すら難しいレベルで、
2018年でもやはりあたりまえのものであったと記憶しています。
欲求を生み出さない分野のデジタル化の難しさ
本章を読んで、医療におけるデジタル化の遅さに驚きを禁じえませんが、
そこには大きな理由があります。
それは、欲求をバックボーンとしない分野のデジタル化の有り様です。
先に述べた、音楽、ゲーム、映像、データ管理、
システムソフトなどの分野は、個人や団体、企業の欲求に直結し苦もなく利を産む分野。
ある意味「放おっておいても勝手に進展し社会が変容してくれる分野」です。
しかし、医療はそうではありません。
医療という分野の持つ重さ、そしてそこで取り扱われるのが命であるという事実。
医療が進展したことによってえられる利益は大きいもののそれが実際の利益として見ずらいという観点。
こういった、直接欲求を生むことのない分野においてデジタル化をするということが
いかに大変なことであるのかを本章からは感じ取ることができます。
それくらい、ここで語られているのは当たり前の事実。
少なくとも2018年に専門家が大上段から語るべき内容ではない、そう感じるものでした。
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