2018年版医療白書:データヘルス革命について


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2018年版医療白書を読む 第1部第2編第2章『データヘルス革命について』

いかに社会のIT化が進んだとしても。

それに伴って医療会におけるITベンチャーが育っても、
社会の意識が変革しても、利用者がそれを求め利用し始めたとしても。

社会のインフラが伴っていなければ、それは効果の薄い局地的な現象でしかありません。

つまりは、国がいかにこの医療のデジタル化に対応していくのかは、欠かせない焦点。

本章ではそんな、国主導のデジタルインフラの改革についてとその結果起こる変容について論じられています。

総論としての傾向

本章は医療ジャーナリストの牧潤二氏によって論述されています。

内容としては、その前半のおいて2017年厚労省に発足したデータヘルス改革推進本部による
取り組みとそれに伴う厚労省の動向について書かれています

後半は、それがもたらす社会の変容の予測について。

メリットデメリット合わせて高了承の指針がどのように社会へに影響を与えるのかを、
やや好意的な視点から論じています。

データヘルス改革推進本部の取り組みと国の取り組み

まずは、厚労省におけるデータヘルス改革推進本部の取り組みとそれに伴う厚労省の動向について。

日本のこれからの最先端医療と医療会におけるIT化の指針となる部分ですから、
その情報は非常に有益であり、また、問題点をそこから見出すこともできます。

全体的にはじめの一歩感

2018年医療白書に掲載された2017年の国の取り組み。

ここから読み取れることとしては、
これまで国としてこういった取り組みを満足にしてこなかったのだな、
というはじめの一歩感が拭えないということ。

2017年データヘルス改革推進本部の出した3つの指針。

①最先端技術の活用(がんゲノム医療、医療保健分野のAI、遠隔医療、介護ロボット)
②ビッグデータの活用
③ICTインフラの整備

この内容を見るだに、本当に動き始めたばかりであることがわかります。

もちろん重要なことではありますが、この数年後、
コロナウイルスの蔓延においていかにこれが「遅きに失して」いたのかを痛感することとなるのです。

マイナンバーの活用など国の動き

国の動きについては、やはりマイナンバーによる健康保険資格確認が目玉。

マイナンバーカード、もしくはマイナポータルを用いて健康保険の資格確認や支払状況、
健康診断のデータなどを一元化して管理する。

システム的には容易のはずのこういったことが様々な観点から遅れていたのを取り戻すかのような取り組みです。

そして、このマイナンバーカードを医療に適用するという自体が、
コロナウイルスの蔓延でどうなったかはみなさん御存知の通り。

もし、もっと早くこの動きが存在したならば、と考えざるを得ません。

データヘルス改革の課題から見るIT化の難しさ

コロナウイルスの蔓延によって見えた日本国の医療IT化の遅れ。

決して医療後進国ではない、むしろ有数の医療先進国である日本、
そして当然ITにおいても後進国ではない日本において、
満足にコロナ感染者データの管理すらできなかった現実。

その現実の正体が、
この2018年段階ですでに見えていたことがわかります。

マイナンバーという便利なシステムに立ちはだかる壁

個別の課題については本誌を参照していただきたいのですが、
見えてくるのはマイナンバーという便利なものがなぜこうまで利用されないのかという壁の存在。

例えば、乳幼児小児期医療におけるデータの活用においては、
学童のデータが収集できない、
つまり学校保健にマイナンバーが立ち入れない現実が指摘されています。

つまえいここにあるのはマイナンバーへの先入観からくる忌避感とプライバシー情報の扱いの難しさ。

便利さ、そして有用さ故の欠点と言えます。

先端医療が起こしてしまう問題点

がんゲノムについては、それが解析できてしまうことの問題点が指摘されています。

元々それを解析し、
がんの治療に役立てるはずのものがなぜ解析そのものに問題点が生じるのか。
それが遺伝悪性腫瘍。

つまり、ゲノム解析によって先天的にがんがある、
もしくはそのリスクが高い遺伝子が見つかった時、
その遺伝をどう捉えるのか、という問題です。

これは、出産選別や優生思想に繋がる恐れのある大きな問題。

国家として最先端医療を考える時、
ただ先に進めば良いわけではないということがこの点からよくわかります。

国家のパラダイムシフト、分野をしっかり切り離して考えるべき

医療におけるデータ医療やIT化を考える時、
全てを十把一絡げにして考えるのは非常に危険です。

例えば、マイナンバーの利用をイデオロギーやその他政局と連動させて考えるのは愚の骨頂ですし、
また、マイナンバー利用の遅さと先端医療に国家が舵を切る際の慎重な歩みを同一視するのも良いこととは言えません。

コロナ対応において、日本の医療データ管理がおそまつであったのは事実です。

しかし、だからといって、拙速な最先端医療を求めるというのは、違う分野であると考えておくべきでしょう。

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