初心者でも分かる医療器機の許認可申請-1


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医療器機の許認可

新型コロナウィルスのお陰で、温度計が全国で売れまくりました。
人の集まるところには、必ずと言って良いほど、設置されています。
しかし、あれは全てが体温計ではありません。
非接触式温度計も相当数設置されています。
温度計は体温計ではありません、つまり医療器機ではないのです。
医療器機ではない機器を使って、皮膚の表面温度を測定し、
お店やレストランに入れるかどうかを判定するのは正しいことなのかと疑問が残ります。
しかし、今回の騒ぎは特別なことでしょうから、まあ、仕方がないと諦めましょう。

医療器機を開発して販売するためには、その医療器機のリスクに応じて、登録や、許可や承認が必要です。
これらの手続きを的確に行なうためには、薬機法をはじめ関連の政省令、告示、通知などで定められた規定に従って行なわなければなりません。
しかし、これらの規定は全体では膨大なものとなるため、
これらの業務に携わる初心者にとってはその業務のイメージがなかなかつかめないのではないかと思います。

ワークシフトのWebサイトでは、これまでもこのブログでQMS省令やISO13485に関してご説明して来ました。
今回も、また数回に分けて纏まった情報を提供してみようと思います。
また、ここでは、あまり細かな規定は省いてできるだけわかりやすく説明しています。
正確性よりも、分かりやすさを重視しますので、詳細なことをお知りになりたいときは、お気軽にお問合せ下さい。
なお、新規の医療器機で、既存に該当するものがない場合、それが医療器機なのかどうかは、直ぐに判定できないことが多いです。
その場合、最終判断はPMDAということになります。

法に定める医療機器

これは医療機器?

1 :医療機器の定義

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「薬機法」という)で定められている定義では、
医療機器とは次の①②③④のすべてを満たす物(物にはプログラムも含む)のことです。

①人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用することを目的としている、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことを目的としています。
構造・機能に影響とは、例えば形を変える、機能を増加、補助、又は抑制することです。
②その物は機械器具等であること。これは医薬品ではないことを示すもので、わかりやすくいうと、
①の目的を達成するために薬理学的及び/又は免疫学的作用を利用していないか利用していても補助的に過ぎないものであることを言っています。
③薬機法施行令別表第 1 に定められた類別に該当している。
この別表中には、機械器具として「手術台及び治療台」など 85 類別、医療用品として「エックス線フイルム」など 6 類別、歯科材料として「歯科用金属」など 9 類別、衛生用品として「月経処理用タンポン」など 4 類別、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体としてそれぞれ疾病診断用のプログラムなどの 3 類別が示されている。このほか動物専用医療機器が規定されています。
④薬機法に定める再生医療等製品に該当しない。

①で物の使用目的をいっていますが、これはたとえその物が本来そのような性能を有していなくても、
表示や広告、販売時の演述などからそのような物であると認識されるものもこれに含まれます。

従って、ただの石ころでも例えば「これから見えない放射線が出ていてがんも治る」などとして販売すれば規制の対象となり得るのです。
ただし、そのような効能があるとして販売されるものでも、医薬品や医療機器と認識されるおそれがないもの、例えば高岩寺(とげぬき地蔵)の御影(お札)は医薬品や医療機器ではありません。

また、逆にそのような目的を意図していなくとも、その物の持つ本来の性質から①に該当する場合もあります。
例えば美容の目的のみで使用される、高出力のレーザー機器やコンタクトレンズは身体の構造や機能にはなるべく影響しないように、
言い換えるとできるだけ生体に影響しないように設計されているものです。
しかし、その使用方法等から身体への傷害の可能性を否定できないため、医療機器として規制の対象となっています。
④の再生医療等製品に該当するものとしては、例えば重症熱傷などの治療に使用される自家培養表皮などがあります。

2: 医療機器ではない物

前記①~④のどれか一つでも該当しなければ、それは医療機器ではありません。
例えば美顔器などの美容器具、ルームランナーなどの健康器具、トレーニング時の脈拍モニターなどの運動器具は、いずれも医療機器ではない。
原理的には同じものであってもマッサージ効果を期待する低周波治療器と筋肉運動を目的とする EMS(ElectricalMuscleStimulation)器具では、
その使用目的の違いによって前者は医療機器であり、後者はそうではないのです。

救急絆創膏は医療機器ですが、同じように皮膚に貼って使用する湿布薬は医療機器ではなくて医薬品です。
救急絆創膏はガーゼや不織布などによって傷を保護するものであるのに対して、
湿布薬は貼付面に含まれている消炎鎮痛薬などが皮膚を通して体内に浸透することによる薬理効果によるものであるため、
湿布薬は前記の②に該当しないのです。

歯刷子は虫歯などの予防に使用されていますが、前記の③の該当する類別がなく医療機器ではありません。
松葉杖、車椅子などは下肢の機能を補助するために使用されているが、これも該当する類別がなく医療機器ではないのです。
一方、眼鏡や補聴器も目や耳の機能を補助するために使用されるものですが、
政令の別表第1に機械器具の第71号として「視力補正用眼鏡」、第73号として「補聴器」があり、
これらの類別に該当するのでいずれも医療機器なのです。

分かり難いですね。

1.3 医療機器への該当性判断

法に定められた医療機器の定義は前記のとおりですが、それではいま目の前にある物、
又は開発する予定の物が医療機器なのかどうか(いわゆる薬事該当性)をどうやって判定するのでしょうか?

最初に確認すべきことはその物の使用目的が何であるかです。
前記①の目的と全く異なるのであれば、それは医療機器ではありません。
しかし、全く異なるとまではいえない場合には、既存の同種の物が医療機器であるかどうかを調べることが必要です。
それが医療機器であれば対象物も医療機器である可能性が高いと言えます。
また、当該製品に該当する医療機器の一般的名称が定められている場合には、その製品は医療機器です。

ただし、該当する一般的名称が定められていないからといって、それだけでその製品が医療機器でないとは断定できないので注意が必要です。
一般的にいって該当性の判断は、条件のわずかな差により結果が異なることもあるので、極めて微妙です。
言って良いかどうか、わかりませんが、PMDAでも担当者で意見が分かれることがあります。
行政機関は、責任を取らされることを嫌がりますから、微妙な場合、判定にも長い時間が掛かります。

特に医療機器に該当するものを誤って該当しないと判断してしまった場合にはその後の法令違反につながる可能性が大きいのです。
薬事非該当との判断に少しでも疑間を感じる場合には、事業者の主拠点のある都道府県庁の業務担当課に相談するとよいでしょう。
ただし、都道府県の薬務課が医療器機であるかどうかの判断はしてくれません。(相談にのってくれるだけ)
判断はあくまでもPMDAです。

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