はじめに
2024年3月、厚生労働省は「医療広告ガイドライン」の一部を改定し、限定解除の条件に関する記載を明確化しました。医療機関や医療機器メーカーがインターネット上で情報発信を行う際、このガイドラインは広告可能な範囲を定める重要な指針です。
本記事では、2024年の改定ポイントを分かりやすく解説し、実務で注意すべき点や今後の対応について紹介します。
医療広告ガイドラインとは?
医療広告ガイドラインは、医療機関・薬局・医療機器販売者等が行う広告表現について、薬機法(旧薬事法)第66条などに基づいて厚生労働省が定めた指針です。
以下のような目的があります:
- 虚偽・誇大な表現を防止
- 患者に誤解を与える情報を排除
- 適切な診療・医療選択を促す
広告可能な内容、広告と見なされる条件、限定解除要件などが詳細に記されています。
2024年改定の背景と目的
近年、インターネットやSNSを活用した情報発信が急増し、医療広告の表現についての相談・指摘も増加傾向にあります。そこで、2024年3月の改定では以下を目的に見直しが行われました。
- 医療機関・事業者が誤って違反広告を掲載しないよう明確化
- 患者・消費者の誤認リスクを減らす
特に注目すべきは、「限定解除の要件」についての説明です。
改定のポイント(2024年3月)
1. 限定解除の条件の明文化
「限定解除」とは、原則として広告できない内容(例:術前・術後の写真、体験談など)を一定の条件下でWebサイトなどに掲載できる仕組みです。
今回の改定では、以下の4要件がより明確に記載されました:
- 一般人向けでなく、必要とする者が自発的に閲覧するものであること
- 治療等を受けるにあたり重要な選択肢であること
- 個人の体験談や術後写真等については個人差に言及する記載が必要
- 虚偽・誇大でないこと
例:美容医療サイトにおける「ビフォーアフター画像」の掲載には、
- リンク先の注意文(例:「効果には個人差があります」)
- 限定解除対象であることの表示(例:「このページは限定解除の対象です」)
などが求められます。
2. チェックリストの更新
自己点検用チェックリストも併せて改定され、SNSや口コミ、動画配信など新たなメディア活用についての設問が追加されました。
企業が対応すべき実務ポイント
- 自社サイト・LPの見直し(ビフォーアフター、体験談の記載確認)
- 注意書き、限定解除対象の表示追加
- SNS投稿の表現ルールを内部ガイドライン化
- 従業員向けの研修・教育(Web担当者、営業含む)
違反が発覚した場合、都道府県からの指導や行政処分の対象になる可能性もあるため、早急な対応が必要です。
まとめ
2024年3月に改定された医療広告ガイドラインでは、限定解除の要件が明確化され、WebサイトやSNSを活用する医療関連事業者にとって、より具体的な対応が求められるようになりました。
患者・ユーザーに誤解を与えない表現を徹底し、法令遵守かつ信頼される情報発信を実践していきましょう。