はじめに
2025年2月12日、政府は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正案を閣議決定しました。
この改正は、医療提供体制の変化や技術革新、患者ニーズの多様化に対応することを目的としており、医療・薬事業界に大きな影響を与える内容となっています。
本記事では、今回の薬機法改正案の主な内容と、それに伴う業界への影響、企業が備えるべきポイントをわかりやすく解説します。
薬機法改正案の概要(2025年)
今回の改正案では、以下の3つの主要分野に対する見直しが盛り込まれています。
1. 市販薬の販売規制の緩和
- 要指導医薬品の販売ルールの見直し
- 特定の条件を満たす場合、オンライン販売の柔軟化が可能に
- 過去の購入履歴や本人確認の仕組みを前提に、一部の薬剤での規制緩和を検討
2. 創薬スタートアップ支援の強化
- 革新的医薬品や医療機器を開発するスタートアップ企業向けに特例制度を創設
- 承認審査手続きの迅速化、PMDAとの対話制度の充実
- 「先駆け審査指定制度」や「条件付き早期承認制度」の活用推進
3. 調剤業務の外部委託(対面原則の緩和)
- 調剤業務の一部を登録された外部事業者へ委託可能とする仕組みを導入
- 地域医療を補完する目的で、薬剤師の人手不足対策としても期待
- セキュリティ確保や誤調剤防止策が前提
この改正がもたらす影響
医薬品販売業界への影響
オンラインでの医薬品購入がより一般化する可能性があり、EC事業者・ドラッグストア・医薬品卸業者はシステム整備やガイドライン順守が必須となります。
医療機器・医薬品スタートアップへの影響
従来の制度では資金力や人材に乏しいスタートアップには参入障壁が高かった分野に、機動的かつスピーディな制度対応が期待されます。
薬局・調剤業務への影響
薬剤師の負担軽減や、遠隔地における調剤の柔軟対応が実現することで、特に地方・過疎地での医療アクセス改善に貢献すると見られます。
薬事行政の今後の方向性と期待される変化
今回の薬機法改正案は、「規制の厳格化」ではなく、「規制の適正化・柔軟化」に軸足を移す流れを象徴しています。
特に、オンライン販売やスタートアップ支援などは、業界の参入障壁を下げ、イノベーションを加速する狙いが見えます。
また、外部委託の容認により、調剤業務の働き方改革も期待され、医療従事者の業務効率化や過疎地域の医療アクセス改善など社会的インパクトも大きくなるでしょう。
企業は単にルールを守るだけでなく、改正の背景にある政策意図を理解し、先手を打った事業戦略を構築していくことが、今後ますます重要になります。
企業が今すぐ取り組むべき対応
- 販売方法やサイト運用が新ルールに適合しているか見直す
- 創薬・医療機器開発企業は早期相談制度を積極活用
- 調剤業務に携わる企業は、外部委託に関する法的条件やセキュリティ体制を整備
まとめ
2025年の薬機法改正案は、医薬品や医療機器を取り巻く環境の変化に対応するものであり、販売・開発・調剤のすべての現場に影響を及ぼします。
今後、法案の国会審議・公布・施行に向けて、関係省庁や業界団体からのガイドライン・通知が順次発表されると見込まれます。
最新情報を追いながら、柔軟かつ戦略的な対応を進めましょう。