ISO13485を理解する:4.2.4・文書管理
要求事項
冒頭略
文書化された手順は,次の活動に必要な管理を規定する。
- 発行前に、適切かどうかの観点から文書をレビューし承認する。
- 文書をレビューする。また,必要に応じて更新し、再承認する。
- 文書の現在の改訂版の識別及び変更の識別を確実にする。
- 該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にする。
- 文書が読みやすく、容易に識別可能な状態であることを確実にする。
- 外部で作成され,組織が品質マネジメントシステムの計画及び運営に必要と判断した文書を明確にし、その配付の管理を確実にする。
文書の劣化又は紛失を防ぐ。- 廃止文書が誤って使用されないようにする。また,廃止文書に適切な識別をする。
この後略
全部引用したいのですが、著作権の問題があるので出来ません。
いずれにしても、13485を取得するのであれば、規格の本は購入して下さい。
この項で言っていること
ここで言っていることは、要するに文書管理の方法です。
例えば、
「発行前に、適切かどうかの観点から文書をレビューし承認する。」
これは作成者と別に承認する人が必要と言うことです。
ですから、作成する文章には必ず作成者と承認者の印が必要です。
書いてあることはほとんどそのままなので、特に説明はいらないかもしれません。
強いて言えば、
「外部で作成され、組織が品質マネジメントシステムの計画及び運営に必要と判断した文書を明確にしその配付の管理を確実にする。」
「廃止文書が誤って使用されないようにする。また,廃止文書に適切な識別をする。」
上記の二つは一寸した注意があるので、ご説明します。
外部で作成された文章とは、JIS規格であったり、クライアントからの品質規格や要求書だったりします。
頂いた文書には、それが外部からのモノであると明記し、閲覧できるようにして下さい。
もちろん、制限を掛けた閲覧の場合はセキュリティにも注意して下さい。
まれに、返却を要求する外部文書もあります。
例えば試作品の図面です。
その場合は、コピーを取らず必ず返却するようにして下さい。
例えば「要返却」などのスタンプがあると良いでしょう。
廃止した文章には「旧文書・使用不可」あるいは「廃止文書・使用禁止」などのスタンプを押すことを忘れないで下さい。
安易に削除してはいけません。
その文章が有効だったときに製造した製品があった場合、品質に関係のある文書だと削除自体が問題になることもあります。
現在、ほとんどの企業では電子データでマニュアルを維持しているはずです。
場所は取りませんから、旧文書・廃止文書もアーカイブに入れて保管しましょう。
目的
この項では、文書管理の要求事項を示しています。
外部文書の性質の明確性を追加し、管理するための要求を入れたことは、この版のISO 13485の新しい点です。
これは、特に良くなった改良点です。
何をするべきか
QMSでは、文書管理の徹底を要求しています。
その場合、文書がどこでどのように使用されるのかを考えると良い結果になるでしょう。
その文書が,どこで使用されるか。
製造区域、試験所及び倉庫のような場所の中で文書を用いることが必要となるのか?
業務の中で各メンバーが関連する文書を利用可能であることを保証することが求められます。
個人的には、社内のネットワークでそれぞれのメンバーが必要とされる文書を利用できるようにした方が良いと思います。
ときどき、やたらと制限を細かくしたり、パソコンでは閲覧できなくしたりしている会社を見ますがどう考えてもやり過ぎです。
品質マニュアルは、章ごとに分類し手順書はそれぞれ、利用できるメンバーを決めます。
もちろん、書き込みや変更は出来ないようにして下さい。
記録は、印刷して手書きでもOKです。
あるいは、パソコンでそのまま書き込み可能にしても良いでしょう。
ただし、不慣れな人は原本に書き込んでしまうことがあります。
これは注意が必要です。
また、パソコン文書にアクセスすることを許可するのであれば、誰がどの文書にアクセスできるのか規定して下さい。
とうぜん文書化が必要です。
作成する文書に必要なこと
- タイトルと適用範囲
- 文書参照番号
- 発行日/発効日
- 版数
- QMSで要求されるレビュー実施日又はレビュー頻度
- 改訂来歴
- 作者又は著者
- 承認者
- 発行者
- 配布
- ページ付け
- 該当する場合は,コンピュータファイルの参照
定型的な部分ですから、上記をコピーしてから新しい文章を作成しましょう。
また、ISO13485の規格では、医療機器の寿命を文書及び記録管理の目的で示すことを要求しています。
医療機器の寿命の決定の補助として、決定の理由を記録して下さい。
医療機器の寿命によって、文書管理の期間が決まるモノもあります。
- 医療機器の保管期限
- 経時的に劣化する対象となる医療機器又はコンポーネントの有効期限
- 医療機器の耐久試験(ライフテスト)に基づいた,その医療機器の使用サイクルの回数又は期間
- 予測される材料の劣化
- 包装材料の安定性
- 埋込み医療機器の場合,医療機器が患者の体内に存在する全期ltiの,その結果としての残留リスク
- 滅菌医療機器の場合,滅菌性の保持能力
- 医療機器のサービスを支援することについての,組織の能力/意志,又は契約上又は規制上の義務
- スペアパーツのコストと利用可能性
- 製造物責任を含む規制上の考慮
- 上記を考慮して医療機器の寿命を考えます。
また、その結果、文書の保管期間は
- その医療機器が,市場に存在することが予測される期間
- 適用される規制要求事項
- 製造物責任及び、他の規制の考慮
- 文書を無期限に維持することの必要性又は適否
- 関連する記録の保存期限
- スペアパーツの利用可能性
- を元に決めることになるでしょう。
最後に、ISO 13485は、医療機器又はQMSの変更によって廃止となった文書の保管期限についても管理を要求しています。
適用される規制要求事項が存在するかもしれないことを認知して下さい。
廃止文書を適切な期間保持することを確実にするためのシステムを確立すると良いでしょう。
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