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杏林大学割りばし死事件

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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。


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医療過誤疑惑が起こした医療崩壊寸前の事態 杏林大学割りばし死事件

医療過誤は医療関係者が最も恐れる事であり、
最も避けなければいけないことです。

しかし、医療過誤や医療事故と呼ばれるものは、それはいわゆる「過失」であり、
その悪質性の違いはあれど基本的には故意ではないものになります。

しかも、とうぜん医療関係者は患者の全快を期して治療をしています。

そこで注目したいのが今回取り上げる「杏林大学割りばし死事件」(以下割りばし事件)

一つの事件が、医療崩壊の発端になりかけ、
今なお大きな禍根を残すことになった重要な事件です。

事件の概要

まずはこの割りばし事件の概要を見ておきましょう。

細かい事象は省いて、その基本的な事柄だけを追っていきます。

事件の発端:小児の転倒事故

1999年7月東京都において、一人の児童が転倒。

当日は夏祭りで、綿菓子の割りばしをくわえていた児童は、
その割りばしをくわえたままうつぶせに転倒、割りばしが喉の奥に刺さってしまいます。

児童はその割りばしを自力で引き抜く、
軽度の意識障害はあったものの出血は軽微だったと言います。

その後、保健室を経た救急車にて杏林大学医学部付属病院高度救命救急センターへと搬送、
この間、保健室の看護師や救急体調が傷口を確認するも軽症と判断されます。

事件の結果:病院の判断と小児の死亡

病院到着後、救命隊長と看護師が傷口を確認。

またその後耳鼻咽喉科の医師により診察がなされたものの、傷は小さく出血もなく、
また触診の際の違和感も感じられず意識も清明であると診察されました。

消毒等の基本的な治療と、髄膜炎を想定した抗生物質を処方して帰宅させます。

しかしその後、男児は帰宅して就寝したのちに容体が急変し、
駆けつけた救急隊によって蘇生処置が行われましたが、まもなく死亡しました。

この際ものどに傷はあったものの、それ以外に違和感はなかったとされています。

死亡の原因と医療過誤疑惑

1人の児童がなくなった不幸な事故。

しかし、この後医療過誤をめぐって様相は一変してきます。

児童の死因は俺残っていた割りばし

児童の死因は司法解剖によって判明します。

なんと、少年の喉の傷の奥には折れた割りばしがそのまま残されており
(長さ7センチ余り)それが小脳に達していたことが判明します。

これにより、事態は医療過誤疑惑へと変わっていきます。

刑事事件化とマスコミの追求

2000年7月、警察はこの件を業務上過失致死として耳鼻咽喉科の医師を書類送検。

また、2年後の2002年には同医師を在宅で起訴した。

またこの際に、医師によるカルテの加筆が認められたこともあって
(裁判の結果改ざんの意志は否定された)この事件にマスコミが注目します。

マスコミ各社の苛烈な批判合戦の様相を呈し、一時的に社会の注目が集まりました。

無罪判決

この件に関して、刑事事件においては2審の東京高裁まで争われました。

結果としては1,2審ともに無罪判決となり、
また遺族は上告を希望したものの検察はこれを断念、
2000年の書類送検から8年後2008年12月に無罪が確定しました。

また、民事においても2009年に無罪確定。

法的には、この件に関して予見は出来なかったと、
医療過誤の可能性は否定されたのです。

事件の影響による医療崩壊の危機

裁判により医師の無罪は確定、これは医療過誤ではないと決せられました。

しかし、この事件が医療機関に与えた衝撃は小さくなく、
今なお続く医療崩壊の危機を招いたのです。

救急医療の現実

この頃は、大病院の勤務医は過酷な条件下で働いていました。
特に救急救命においては、元々救急専門医が少ないという日本の事情もあって、様々な専門家の医師が交代制で担当しているという現実がありました。
これは、多くの場合善意の行為であり社会貢献の一面があるものでした。
しかも24時間様々な状況に即応でき救急救命体制をしくことは財政的に厳しく、特に中小の救急救命においては、応急処置的な存在でした。

医療崩壊の危機

しかし、この割りばし事件以降、
大病院の勤務医は「訴追される可能性」を感じて多くの人が退職。

特に救命救急においては、割りばし事件が最終的に業務上過失致死傷罪で刑事事件化されたこと、
さらにはマスコミの激しい追及で犯罪者扱いされてしまったことでリスクの高さが浮き彫りになりました。

結果、専門以外の診療を断ったり、
医療紛争へのリスクマネジメントとして救急からの撤退などが相次ぎました。

さらに、医療関係者同士での、合併症や副作用に関する報告が減ったとも言われ
(その場に専門家でない報道機関がいると、報道で犯罪者扱いされかねないため)
その影響は大きいとする専門家もいます。

なお、救急救命の人手不足は、今なお継続する問題として残っている問題です。

割りばし事件が投げかけた問題

まず、前提として医療過誤はきちんと調査がなされるべきでしょう。

しかし、この問題により、医療の一部分において深刻な危機が生じたのも確かで、
その原因には、医師の治療を安易に刑事事件として立件することや報道の是非が取りざたされています。

医療過誤はあってはならないことです、しかし、医療に携わる人間の身分保障もまた重要な問題です。

この事件は、医療過誤追求という行為の難しさを社会に投げかけた事件と言えるでしょう。

現在、IT企業の進出で、遠隔医療の導入の声が大きくなっています。

過疎村ので一人暮らしのお年寄りに対し、
タブレットを使った、対面医療を届けようと言うものです。

しかし、これに賛成する医師は多くはありません。

人間の健康状態は画面越しでは分らないことが多くあるのです。

加えて、万一、不完全な診療でミスがあったら、
医者はその責任を問われます。

こんなリスクの高い診療を医者が進んでやろうとはしません。

今後、これらのことも考えて対策しなければなりません。

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