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麻野涼:『死の臓器-2』

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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。


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命の価値と正義を問う医療ミステリ:麻野涼『死の臓器-2』

レストア・キッドニを巡る事件のついて書かれた前作、死の臓器。

その続編となる本作は、同じく臓器移植にまつわる事件に挑む作品となっています。

そして、今回のターゲットは心臓移植。

それも特に、海外における心臓移植について、
その巨大な闇にメスを入れる作品となっています。

そしてその内容は、あまりにショッキングで、そして重い。

命の価値、正義の意味、そして、正しさの本質に迫っていく作品となっています。

救う会という善意の中に紛れる黒い点を追う

海外における心臓移植。

きっと、そんなニュースを見たことがある人も多いとは思いますが、
そこには莫大な金銭がかかるのが常識となっています。

そんな莫大な資金を集めるために存在する、救う会。

広く世間に移植の事実を公開し、
そして寄付金や募金によってその資金を集めるという善意の集団に、
小さな一つの黒い点が現れるそれが物語の始まりです。

その黒い点、それが、救う会メンバーのひとりの不審死。

この不審死の謎を追い詰めていく、
ジャーナリストたちが直面するのは、海外移植の抱える巨大な闇。

事件の解決とともに現れるその闇の正体に、
勧善懲悪では描ききれない思いが生まれてきます。

命の価値、生存の優先順位というジレンマ

本作のポイント、それはやはり移植にまつわる金の流れがそのポイントでしょう。
しかし、あわせて考えてほしいこと、それが「命の価値」であり「生存の優先順位」です。

救う命の選択という非常な事実

臓器移植という問題につきまとう現実の一つ、それが救える命の選択。

すべての命は平等だという、
ありきたりな倫理観の通用しない「一つの臓器で救える命は一つ」という現実の前で繰り広げられる命の選択。

本作は、この救える命の選択というポイント無しで語ることはできません。

イスタンブール宣言

2008年に採択されたイスタンブール宣言。

この海外での臓器移植、いわゆる移植ツアーを禁じる宣言により、
海外における臓器移植は国際的に萎縮した、というのが本作の背景。

これにより、日本でも国内移植に力を入れるべく様々な方が成立します。

しかし、様々な原因から日本での移植状況は改善せず、
それでも海外移植でないと助からない命が存在している現状。

この現状が、ベースにあるのです

アメリカの5%ルール

イスタンブール宣言下、米国においては5%ルールというものが存在します。

これは、該当病院の臓器移植実績の5%までは外国人に対しての移植を行ってもよいうというルールです。

作中では、この5%の枠を巡って中東、ユダヤ、
日本といういわゆる資金力の高い国の患者がしのぎを削るという移植の実態が浮き彫りにされます。

そうつまり、その5%枠を金で買うという現状です。

もちろん、合法の国際基準に則った移植ですが、
そのために移植費用は高騰。

数億と言われる莫大なお金が動く、
場所となっていると作品では描かれます。

中国における移植の現実

そしてもう一つ、イスタンブール宣言下で移植の当事国として描かれるのが中国。

特定宗教団体からの生体移植の実態が国際機関によって指摘されたり、
死刑囚からの臓器移植が常態化していると作中で評される中国。

しかし、人権無視のその行為にかかる経費は低く、
また同じ理由で募金という手段がとれないという現状があります。

作品で描かれる、もう一つの臓器移植の現場となります。

命の価値、優先順位

ありていに言ってしまえば、札束での殴り合いで5%を奪い合うアメリカ型。

人権という天賦の権利を蹂躙して得られる臓器で、
人の命を救うという結果をもたらす中国型。

常にこの二軸がつきまとう本作におて、
読者が考えさせられるのが命の価値と、優先順位。

ともすればどちらも臓器売買に見えてしまう現状、
そして、ひとつの命を救うとき他の命が奪われるという事実。

読者の思いを体現するかのように、
登場人物たちの様々な思いが交錯するのです。

正義とは、倫理とは、そこにある現実

臓器を移植をめぐる様々な人間の思惑と、苦悩。
そして、陰謀と暗躍。
混在する様々な正しさと、そこに付随する命が本書の魅力の要です。

わかりやすい悪とわかりにくい正義

本書は、その基本においては不審死をめぐるミステリー。

そう言う意味においては、
そこに明らかな真相と付随する悪というものは存在します。

しかし、その悪はとてもわかりやすい善の衣を着ています。

そして、物語終盤には、
そのわかりやすい善すら本当に倫理的に許容されるものなのかきっと頭を悩ませるはずです。

さらに、常にそこには結果救われる命がある。

どこまで言っても答えのでない問答のような、ジレンマです。

最終的に窮地に陥った命がある

物語の最後まで読むと、一つの事実に気づくはずです。

それは、すべての事件が解決し、
巨悪が暴かれたそこに「救えたはずの命」が犠牲になっているという事実です。

このたった一つの命、これもまた、大切な命。

この生命はどうしたら救えたのか、
何がこの生命を窮地に陥れたのか。

日本の移植医療の本当の闇に直面したとき、
なにかがわかるかもしれません。

もはや事件の謎解きはきっかけでしかないミステリ

ミステリは、事件の謎解きが主。

しかし、本書に関しては、
それは、一つのきっかけでしかありません。

そこにあるのは、もっと大きな、そして根深い社会の闇。

正義や倫理、そして命を通してわたしたちに問いかけてくる、
難解な謎解きなのです。

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