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仙川環『鬼嵐』

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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。


COVID-19
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悪意をはらんだウイルスの脅威 仙川環『鬼嵐』

2020年以降、歴史上人類がここまでウイルスの脅威を認識したことはなかったでしょう。

ペスト、チフス、コレラ、新型インフルエンザ等のパンデミックを経験してきた人類ですが、
高度に情報化された社会で起こった今回の新型コロナウイルスの脅威は別格。

地球の裏側で起こったクラスターさえ、身近な我が事のように感じられる恐怖。

しかし、それでも、今回のコロナウイルスは自然の仕業であり、そこに人の手は介在しておりません。

もちろん噂レベルの陰謀論で、
某国の作為的なパンデミックであるという情報もありましたが、あくまで噂です。

しかしもし、それが噂ではなかったとしたら……。

本作仙川環さんの『鬼嵐』を読めば、そこにそこはかとない恐怖を感じるはずです。

仙川環『鬼嵐』

本作は、ウイルス感染症をめぐるミステリ。

主人公は、ある意味仙川作品の基本スタイルとも言える、
元大学病院の勤務医です。

発端は正体不明の変死体

大学病院で人間関係のトラブルを抱えて地方都市のクリニックに勤務している主人公。

父親の跡をついでそこを任されるという流れの中で、
ある日、胃腸に不快感を感じる患者と出会います。

大したことのないと思われた、その患者、しかし数日後、彼は変死を遂げるのです。

しかも、まるでエボラのように激しい吐血と下血、
目や耳からも出血するという悲惨な死に様で、
主人公は直感的に何らかの感染症であると考えます。

しかし、地元の名士であった死者の検査は行われず、
そそくさと荼毘に付されることに。

その後、心のなかにわだかまりを感じながらも過ぎていく時間の中で、
その小さな地方都市の中で、第2第3の死者が発生していくのです。

そう、やはりそれは、ウイルス感染症だったのです。

偏見と地域経済の中で

事件が起こった地域は工場や農業技能実習によって外国人が急増している地域。

そんな地域で起こった未知のウイルス感染症は、
それまで、地域内にくすぶっていた外国人に対する鬱憤とともに偏見に満ちた展開を見せていきます。

また、同時に、衰退していく地域経済の救世主として期待されていた海外から輸入した家畜。

きちんとしたルートで、しっかりとした検査済みのものであったにもかかわらず、
これもまた感染経路の一つとして疑義を持たれていくのです。

そこにあるのは、憶測といち早く感染経路を特定したいという拙速な行動。

フィクションでしかないこの物語のその流れの中に、
私たちは、つい数ヶ月前にSNSでも他光景を思い出すはずです。

そして、今も世界に蔓延する偏見の形も、そこにはあります。

驚愕のラストと恐怖のシナリオ

感染経路は外国人に違いないと偏見に満ちた決めつけの中にいる地域住民。

そして、感染経路を新種の家畜であると決めつけて突き進もうとする研究者や国、そして製薬会社。

しかし、その真相は驚くべきものだったのです。

もちろんそれをここで書くことはしませんが、もし、
これと同じことが世界で起こったなら、日本で起こったなら、
穴他のすぐ近くの自治体で起こったなら。

そう考えるだけで、背中に冷たい汗を感じる恐怖。

そして、その感染経路の謎がどうあれ、
すでに日本に上陸し存在してしまったウイルスと感染症。

一度顕在化したウイルスとの戦いに終わりはないと感じさせる最後の一文は、
これからの世界に向けられた、警告のようにすら感じます。

見えないウイルスの呼ぶ偏見や情報の恐ろしさ

本作の中に登場する数多くの偏見です。

ウイルスという見えない悪魔の存在が生み出す偏見や情報の恐ろしさは、
わたし達が今まさに経験していることです。

普通の人間が見せる狂気の一面

本作に登場する、とある男性。

地域振興に熱を上げる、
妻子持ちのどこにでもいる地方の青年なのですが、
この人がかなり偏った外国人排斥思想をもっています。

もちろん、最初は親しい人位に向かって偏見に満ちた持論を展開するくらいです。

しかし、ウイルス感染症の発生でその行動は激化。

通常であれば、誰がどう考えてもおかしいと思えるような非人道的な施策を求めたり、
直接的な行動に出るなど過激な活動家のようになってしまいます。

これもまた、見えないウイルスの呼び覚ます恐怖です。

悪意ない専門家たちの暴走

同時に、専門家と言われる人たちの中にも、
見えない悪魔のもたらす悪影響は出始めます。

それは、はじめは、ウイルス感染症の封じ込めには速さが必要であるという当たり前の医学的見地によるものだったにもかかわらず、
段々と思い込みによる暴走にすら見える過程をたどり始めるのです。

一度特定した感染源への盲信。

新しいウイルス感染症に自分が携わり、
初めてそれを解明していくという高揚感の中で生まれてしまう興奮とそれに伴う盲点。

そして、その盲信によって被害を被る普通の人たち。

ウイルス感染症のもたらす混乱、
まさに人間性が呼び起こしたパンデミックの様子が克明に描かれていきます。

雨降って地固まる物語、だが

本作では、様々な偏見や暴走は最終的に良い方向へと進みます。

しかし、それは物語だから。

実際はきっとそうは行かないでしょう。

コロナ初期に見られた偏見

新型コロナウイルスが流行りはじめ、
パンデミックが宣言され始めた頃。

日本をはじめ世界中で、
中国による政府主導のバイオテロであるという情報が流されました。

少なからずの国、そして政府関係者までが同じような発言もしました。

日本においても、各地の中華街や中国料理点において客足が遠のいたり、
様々な弊害が起こったことは記憶に新しいはずです。

しかし、それを裏付ける根拠はどこにもありません。

そして、そのような偏見が今、
世界の人々の心から完全に消え去ったかと言えば、それはきっとNOです。

アジア人排斥の傾向がある世界

それが一部の不届き者のせいであったとしても、

現在、世界においてアジア人排斥の機運が高まっていて、
実際に被害にあった人が存在知るという事実は間違いなく存在します。

そんな時、作中の登場人物である一人の外国人のセリフが思い出されます。

彼は『これは人類対ウイルスの戦いであり、
国同士でいがみ合っている場合ではない』というのです。

非常に簡潔で批判しようのない言説。

物語の中で強い偏見を持っていた男は、
これに心動かされて次第に態度を軟化させていくのですが、
今の世界に、この声は果たして届くのでしょうか。

コロナ後を考えさせられる作品

コロナウイルスが人間にもたらした、病気とは関係のない災厄。

今後も世界にくすぶり続ける偏見や誤情報という事実を前に、
今後の世界を考えさせられる作品です。

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