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医療機器の許認可申請 製品認可手続き
2017年8月、一般社団法人医療機器産業連合会
法制委員会 承認関連分科会は、
「質の高い製造販売承認等申請のためのガイダンス」という資料を公開して配布しています。
インターネットで簡単に入手できます。
わずか、18ページの資料ですが、とても良い資料です、製造販売承認の申請を行う方は入手してください。
ここでは、ガイダンスの要約を交えて、製品認可の手続きについて、ご説明します。
届書・申請書の記載事項等
前述したガイダンスの中では、「質の高い申請書に求められる原則」が説明されています。
重要なので、ここで引用します。
(質の高い申請書に求められる原則)
- 申請戦略・計画: 承認申請から保険適用、上市後の販売に至るまで一貫した戦略に基づく申請書であること。
- 信頼性・整合性: 信頼性の確保されたデータから作成された資料であり、申請書/STED/根拠資料の全体の整合性が確保されていること。
- 的確性・論理性: 設計管理(設計検証、リスクマネジメント等)の概要がわかりやすく論理的に整理されており、医療機器のベネフィットが残留リスクを上回り、かつ残留リスクが受容できると考えた論拠について審査側が正確に判断できる文書であること。
- 正確性: 設計管理の成果から、正確な結果が反映されていること。
- 構成・用語: 誤字脱字がなく、適切な用語と略語を用い、通知の様式に従った読みやすい構成であること。
申請戦略などと書いてありますが、難しく考える必要はありません。
お役所はこんな言葉が好きなんです。
その製品の競争力はどこにあるのか? 他の製品に比べてどんな有効性があるのか?
それを、証拠として示すことを考えてください。
皆さんの会社が、力を挙げて開発した医療機器です。
もう一つ、申請書は、医療機器にとって、戸籍のようなものです。
数値データのどの間違いには注意してください。
あとから、大変なことになります。
下手をすると、全て無効、最初からやり直しになることも考えられます。
必ず、複数人でチェックを行ってください。
上記の通り、このガイダンスはとても有効です。
実質的な利益をもたらす申請書の質の上げ方が書かれているのであって、
その後の業務遂行にあたってアドバンテージを築く元となる注意事項が書いてあります。
品目について
医療機器を製造販売するために、製造販売業者は、製造販売しようとする医療機器について、
品目ごとに(薬機法第23条の2の5他)法で規定された認可手続きを完了する必要があります。
「品目」ごとというのは、製品ごとと考えてよいのですが、より厳密には製品の認可単位となる製品群と言えます。
世の中に流通している個々の医療機器を見てみると、例えば、大きさに違いがあったり、付加機能の違いもあります。
また、当然ですが、機能、性能の違いもあります。
上記の違いにより型番の違い、製品名称の違いなどが出てきます。
これらのどこまでが1品目の医療機器であるかは、申請者の判断です。
つまり、薬機法に関連する種々の管理業務、マーケテイングにおける扱い等を考慮して決めることになります。
しかし、申請者が全く自由に決めることができるわけではなく、一定のルールに従うことになります。
例えば私が作っていた「人工骨」では
人工骨における原材料、適応部位が異なる場合は、一群の医療機器として申請することができませんでした。
届書・申請書の記載事項
ここでは、医療機器製造販売承認申請書を例に、実際の記述例を元として記載事項について説明します。
現在、承認申請書及び届書についてはDWAP又はFD申請ソフトの使用が推奨されています。
それに従って入力することにより定められた様式に従った申請書・届書を作成することができます。
しかし、そのFD申請ソフトが、とんでもなく使いにくいのです。
私は何度も代行で行いましたから、覚えましたが、初めての場合、相当手こずることになると思います。
東京都は、手書きの書類も受け付けてくれますが、自治体によっては受け付けてくれません。
多くの場合、形状、構造及び原理欄以下の欄は、保管方法及び有効期間欄を除いてA4の様式には収まらないため、
様式の欄中には「別紙1のとおり」などとだけ記載します。
別紙1などとした別の書類(これも用紙の大きさは原則としてA4とするが、複数ページになることも多い)にそれぞれの具体的内容を記入します。
それと、書類にはページ番号を振ってください。
後で分らなくなるからです。
記載内容は書類そのままですが
① 類別欄:薬機法施行令別表1の類別を記入します。
② 一般的名称欄:の医療機器の一般的名称(コード番号をカッコで付記する)を記入します。
③ 販売名欄:申請・届出者が申請・届出対象の医療機器全体に対して定めた「販売名」を記載します。
(販売名は、一物一販売名が原貝1です。しかし、販売先のブランド別にするなどの妥当な理由があれば一物多名称とすることもできます。)
④ 使用目的又は効果欄:一般的名称の定義の範囲内で届出対象医療機器の使用目的又は効果を記載します。
形状、構造及び原理欄:対象医療機器の外観形状、構造、原理、各構成部品、各部の機能等、どのような品日であるのか図面等を含めて分かりやすく記載します。
⑤ 原材料欄:形状、構造及び原理欄において記載した内容との対応関係が明確となるように原材料等及びその規格を記載します。
⑥ 性能及び安全性に関する規格欄:品質、安全性及び有効性の観点から、申請・届出対象の医療機器の要求事項として求められる設計仕様のうち、「形状、構造及び原理」欄に該当しない事項を記載します。
⑦ 使用方法欄:申請・届出対象の医療機器の使用方法を、順を追って、必要に応じて図解する等により、わかりやすく記載します。
⑧ 保管方法及び有効期間欄:保管方法については、冷暗所等一定の条件の下に保管しなければ、変質、劣化等が起こり得る製品について、その保管方法、保管条件を記載します。
⑨ 製造方法欄:設計、主たる組立等、滅菌、国内での最終製品の保管の各製造工程を行なう登録製造所が単一でない場合等は、各工程の関係について誤認が生じないよう、各登録製造所の関係についてわかりやすく記載します。
(ここが一番面倒です)
⑩ 備考欄:特定保守管理医療機器に該当する場合、単回使用医療機器の場合、新規原材料を含有する場合、それぞれその旨を記載します。
以上、少し大雑把ですが、実際に記入する際は、別紙なども参照して記載することになると思います。
製造販売届書
一般医療機器を製造販売する際にPMDAに届け出る医療機器製造販売届書についてご説明します。
製造販売認証の申請
一般医療機器については、医療機器製造販売届書をPMDAに提出することで手続きは完了です。
書類の提出にあたって、その届出手続きが適正なものかどうかについては必ずしも届出窓口で審査されません。
そのため、届出者側で一般的名称への該当性や新医療機器に該当しないことなどを十分確認する必要があります。
後になって、実際には一般的名称がクラスⅢ以上となるものであったり、あるいは新医療機器だったり、した場合は、届出は無効です。
すでに販売した場合、市場からの当該医療機器の回収が必要となるります。
ここは、慎重にチェックしてください。
認証基準
対象となる医療機器に、特段の新規性がなく、加えて、一定の基準に適合するものであれば、その医療機器は基準になる効果と安全性を持つと判断されます。
いわゆる、後発医療機器であれば、比較的簡単に認証してもらうことができます。
この基準が認証基準といわれるもので、厚生労働省告示(平成17年厚生労働省告示第112号)及び通知(平成26年薬食発1105第2号ほか)により定められています。
認証基準は、医療機器の種類ごとの基準と共通の基準からなっています。
当然ですが、どちらにも適合していなければなりません。
○既存の医療機器と実質的に同等であること
○基本要件基準に適合すること
登録認証機関
製造販売認証は以下の要件をすべて満たしていることで厚生労働大臣に認可された機関で行われます。
・ISO17021-1およびISO17065に適合する
・申請法人の代表者が製造販売業者の役職員や申請法人の親法人が製造販売業者であることなどの、医療機器の製造販売業者等に支配されていることがない。
・登録取り消し処分を受けて2年以内などの欠格事項に該当しない。
ここでは、現在登録認証感である12機関と、その意義と役割について説明します。
登録認証機関は令和2年7月時点で以下の12機関がありす。
- テュフズードジャバン株式会社
- テュフ・ラインランド・ジャバン株式会社
- ドイツ品質システム認証株式会社
- BSIグループジャパン株式会社
- SGSジャバン株式会社
- 株式会社コスモスコーポレイション
- ー般財団法人日本品質保証機構
- ナノテックシュピンドラー株式会社
- 一般財団法人電気安全環境研究所
- 公益財団法人医療機器センター
- 株式会社アイシス
- DEKRAサーティフィケーション・ジャパン株式会社
それぞれの認証機関はその認証業務を行なう医療機器の種類の範囲が決まっています。
それぞれの認証機関のホームページのほか、厚生労働省のホームページの「登録認証機関制度について」のベージでは一覧表で確認できます。
とはいえ、一般的な医療機器の場合、わりとどこでも審査してくれます。
それぞれの、認証機関で得意不得意はあるようです。
料金もかなり違うので、複数の機関から見積もりを取るようにしてください。
製造販売認証申請
医療機器が認証基準に適合していることを確認したら認証申請を行ないます。
申請先となる認証機関は品目ごとに任意に選択できるので、ホームページ等からの情報収集、認証機関への問合わせ等により申請先を決め手ください。
認証申請の添付資料
認証申請された医療機器が認証の要件を満たすものであるかどうかを確認するためには申請書中の記載のみでは不十分の場合があります。
そのため、認証申請の際に必要となる添付資料STED(ステッド:Sumally・Technical・document)が必要になります。
これも書き方が面倒ですが、必要な場合は正確に書いて提出してください。
STEDの記載内容
1)品目の総括
品目の概要、適合性、類似製品との比較、外国における使用状況、の4項目の添付資料について、個別に記入します。
2)基本要件基準への適合性
令和2年薬生機審発0225第1号ほかで示された承認基準に詳しく載っています。
3)機器に関する情報
医療機器そのものに対する情報の大部分は認証申請書に記載されているので、ここにはそれを補足する情報を記載します。
4)設計検証及び妥当性確認部署の概要
基本要件基準及び認証基準への適合性を示すために実施された試験についての記載します。
5)注意事項等情報・添付文書(案)
注意事項等情報・添付文書について、記載します。
6)リスクマネジメント
JIST14971に即したリスクマネジメントの内容について記載する必要があります。
『リスクマネジメントの実施状況』
『安全性の措置を講じたハザード』
7)製造に関する情報
認証申請書の『性能及び安全性に関する規格』に対応する添付表に従って、記載します。
また滅菌バリデーションを行った製品に必要な『滅菌方法に関する情報』を添付する場合は、基準に従って記載してください。
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