はじめに
2024年3月、厚生労働省は「医療機器規制と審査の最適化のための協働計画2024(以下:協働計画2024)」を公表しました。
この計画は、医療機器の開発から上市までのプロセスに関する規制や審査体制をより効率的かつ透明性のあるものにすることを目的としています。
医療機器業界に関わる企業にとって、製品開発や承認申請の実務に直結する重要な内容です。本記事では、その概要とポイントをわかりやすく解説します。
協働計画2024の概要
「医療機器規制と審査の最適化のための協働計画2024」は、厚労省とPMDAが連携し、2024年度以降の医療機器行政の方向性を明確にした指針です。
背景には、技術革新の加速、デジタル機器やAIの普及、国際的な規制整合の必要性があります。
目的
- 革新的医療機器の迅速な実用化支援
- 開発・申請・審査の予測可能性・透明性の向上
- PMDAと企業・関係機関の対話促進
対象
- 一般医療機器(クラスⅡ〜Ⅳ)
- プログラム医療機器(SaMD)
- AI・ロボティクス技術を活用した機器
協働計画2024の重点取り組み項目
① 「早期対話」制度の充実
企業がPMDAと初期段階からディスカッションを行うことで、適切な開発計画の構築と申請戦略の明確化を支援。
- AI搭載機器など、新技術に対して柔軟な運用を促進
- 薬事戦略相談・事前面談の活用推進
② 適切な規制要件の提示
製品特性に応じた合理的な審査基準の設定。過剰なデータ要求の見直しや、国際整合性を重視した評価指標の導入を目指します。
③ 多職種連携の審査体制
PMDA内部での連携を強化し、サイバーセキュリティ、AIアルゴリズム、リアルワールドデータ(RWD)など、専門知識が必要な審査への対応力を強化。
④ 審査プロセスの可視化と期間短縮
PMDAの審査進行状況を申請者と共有する体制づくり。
さらに、医療上の必要性が高い製品については優先審査制度の活用も推奨されています。
企業が取るべき対応とは?
本計画はガイドラインではなく政策方針ですが、企業の開発・申請戦略において以下の点が重要となります。
- 早期のPMDA対話(戦略相談・事前相談)の活用
- 規制要件・申請資料の簡素化や電子化の対応
- AI・デジタル関連医療機器の開発体制の強化
- ガイドライン・通知・手引書の最新動向のフォロー
まとめ
「医療機器規制と審査の最適化のための協働計画2024」は、今後の医療機器開発における戦略立案や、製品のスムーズな薬事承認を目指すうえで必須の情報です。
革新的な医療機器をスピーディかつ確実に市場投入するには、規制当局との協働が欠かせません。貴社でも今後の薬事戦略策定に本計画をぜひ活用してください。