医療機器の製造販売承認・認証を取得するとき、避けて通れないのがQMS適合性調査です。
「承認申請とは別に何をするのか」「いつ申請すればよいのか」「何を見られるのか」——初めて医療機器を扱う企業から、必ずいただくご質問です。
この記事では、QMS適合性調査の位置づけと、申請から完了までの流れを整理します。
QMS適合性調査は「品質管理体制の審査」
先に結論をお伝えします。QMS適合性調査とは、製品ではなく「製品を作る体制」を審査するものです。
医療機器の承認・認証には、大きく2つの審査があります。
| 審査 | 対象 | 見られること |
|---|---|---|
| 承認・認証審査 | 製品そのもの | 有効性・安全性・性能 |
| QMS適合性調査 | 品質管理の体制 | QMS省令に適合した仕組みが実際に運用されているか |
どれだけ優れた製品でも、それを安定して作り続ける仕組みがなければ、医療機器として世に出すことはできません。人の生命に関わる製品だからこそ、体制そのものが審査対象になります。
ここで重要なのは、「文書が揃っているか」ではなく「運用されているか」が見られる点です。品質マニュアルや手順書を用意しただけでは足りず、それに沿った記録が残っている必要があります。
調査を行うのは誰か
QMS適合性調査を実施する主体は、医療機器のクラス分類によって変わります。
| 対象 | 調査主体 |
|---|---|
| 承認品目(高度管理医療機器など) | PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)または都道府県 |
| 認証品目(指定管理医療機器) | 登録認証機関 |
自社の製品がどちらに該当するかは、クラス分類によって決まります。分類の考え方は医療機器のクラス分類とはで解説しています。
なお調査には、実際に製造所へ出向く実地調査と、書面で行う書面調査があります。どちらになるかは、製品のリスクや過去の調査実績などを踏まえて判断されます。
申請から完了までの流れ
Step 1:申請のタイミングを決める
承認・認証申請と並行して進めるのが基本です。QMS適合性調査が完了しなければ承認は下りないため、後回しにすると全体のスケジュールが遅れます。
初めて医療機器を扱う企業では、この順序の理解が抜けていることがあります。「製品の審査が通ってから体制を整えればよい」と考えていると、大きく手戻りします。
Step 2:申請書と資料を提出する
申請時には、品質管理監督システムの概要を示す資料一式を提出します。品質マニュアル、組織体制、製造所の情報などが求められます。
提出資料の詳細は調査主体や品目によって異なるため、申請先の最新の案内を必ずご確認ください。
Step 3:調査を受ける
実地調査の場合、調査員が製造所を訪問し、文書と記録を照合しながら、実際の運用状況を確認します。担当者への質問も行われます。
ここで問われるのは、書かれていることと、やっていることが一致しているかです。
Step 4:指摘への対応
不備が見つかった場合は、改善して報告します。指摘の程度によっては再調査となることもあります。
Step 5:基準適合証の交付
適合と判断されると、基準適合証が交付されます。これが承認・認証の前提となります。
基準適合証には有効期間があり、期限内に更新のための調査を受ける必要があります。取得して終わりではなく、継続的に体制を維持することが求められるという点は、あらかじめ押さえておいてください。
準備段階でつまずきやすい3つの点
当社にご相談をいただく中で、繰り返し見られるパターンがあります。
① 文書は作ったが、記録がない
最も多い状態です。品質マニュアルと手順書は揃っているのに、それに沿って業務を行った証跡が残っていない。調査では記録こそが運用の証明になります。手順書を作った時点で、その手順に沿った記録を残し始める必要があります。
② 手順書と実際の作業が違う
ひな形をそのまま使い、自社の実態に合わせる作業を省略した場合に起きます。調査員は現場を見て、担当者に質問します。文書と食い違えば、そこから深掘りされます。
③ 薬事三役の体制が固まっていない
総括製造販売責任者、国内品質業務運営責任者、安全管理責任者の要件と兼務可否は、業許可の種別によって変わります。体制が固まらないまま調査を迎えると、根本的な指摘を受けます。詳しくは薬事3役(5役)について、初心者でも分かり易く解説しますをご覧ください。
まとめ
- QMS適合性調査は、製品ではなく「作る体制」を審査するもの
- 調査主体は、承認品目ならPMDA・都道府県、認証品目なら登録認証機関
- 承認・認証申請と並行して進める。後回しにすると全体が遅れる
- 見られるのは文書の有無ではなく、運用されているかどうか
- 基準適合証には有効期間があり、更新調査がある
手数料や標準的な処理期間は、調査主体や品目区分によって異なります。また制度改正も行われるため、申請前に必ず最新の公表資料をご確認ください。
体制づくりの段階からご相談いただければ、手戻りを減らせます。QMS省令の全体像についてはQMS省令とは? 医療機器製造販売に欠かせない知識もあわせてご覧ください。
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