ISO 13485を理解する:13485と9001

 

ISO 13485 と 9001の違い

ISO 13485の目的や範囲は前回ご説明しました。

最初のうちは少し分かり難いですが、
なれてしまえば簡単です。

製造業にとって重要な4章に入る前に、
もう一つ、理解して欲しいことがあります。

ISO 9001との違いです。

他にISO 9001との関係が0.4 に書いてあります。

0.4 ISO 9001との関係

 

この規格は独立した規格であるが、既にISO 9001:2015に置き換わっているISO 9001:2008に基づいている。

最新版ではないことに注意して下さい。ISO 9001:2015とは合せてないのです。
13485は、法令に近い要素があるため、9001に比べると保守的です。

また、ISO13485が法律に組み込まれることを意図して作られていますから、どうしても文章が中心です。

行政機関が行う審査や調査は、文書・記録を中心に行います。

ですから、多くの作成すべき文書が指定されます。

これで嫌な想いをされた方もいるでしょう。

ISO13485は、32項目の「文書化した手順」を求めており、
その他の文書化も入れると80項目ほどの文書化の要求があります。

注意して欲しいのですが、数え方にはいくつかの考え方があります。

第一種医療機器製造販売業を取得した、
私のコンサル先では最終的に100項目を少し超えるぐらいの文書が作成されました。

さらに、記録も約60項目ぐらいにはなるでしょう。

一方、ISO9001では、文書化した手順の要求はありません。

「何を文書化するか」は、自社の判断に任せています(記録は約22項目)。

要するに、13485と9001は、基本思想が異なります。

ですから、9001を取得した製造業者が13485を取得するときは、それなりに苦労します。

一部の、社員は「なんで、こんなに面倒なことをするの!」と怒り出す場合もあるでしょう。

医療機器は本当にハイリスク?

建前上、ISO13485は、ハイリスクで、特別な管理が必要な医療機器を想定したルールが多く見られます。

審査員も、薬務課の担当者も、PMDAも「万一のことがあったら、命に関わります」と言います。

リスクはある

しかし、医療機器は、本当にそれほどハイリスクでしょうか?

手術で使う、医療機器、検査やリハビリで使用する医療機器は、
全て医療従事者が患者に対して使用します。

つまり、専門的な技術と知識を持った人が使う分けです。

逆に、自動車はどうですか?

まあ、免許は持っているでしょうが、
車の構造や、メカニズムなんて普通の人は知りません。

でも、万一のことがあれば事故を起こします。

そして、日本では現在でも年間4,000~5,000人が自動車事故で命を失っています。

交通事故

要するに十分ハイリスクです。

逆に、専門家が使用する医療機器の方が、よほど安全です。

ですから、自動車部品や製品を作っている会社は、
医療機器をハイリスクだからと恐れることはないのです。

自分で大袈裟にして、自らの首を絞めたのがISO 13485

そこまで言うこともないかもしれません。

しかし、衛生管理だ! 滅菌しろ! バリデーションはどうなっている! 治験は何時までだ! メンテナンスは?

と騒いでいるうちにISO 13485は、厳しい規格になってしまいました。

実際の、医療機器はおそらく半分以上は、
それほど危険なものではありません。

PMDAの回収情報を見て下さい。

「これは拙い!」と思えるモノはほとんどありません。

なので、規格の過剰な要求に全て付合ってはいけません。

自分の首を絞めることになります。

ときどき、クライアント様が熱心に取組むことがあります。

特に、若い経営者さんの場合に多いです。

若い経営者

ISO 13485を取得するときは、
勢いもありますから何とかなるのですが、
それを維持しつつ、
使って行くときは無理が出てきます。

そして、作ってしまうとそれを守って、
マニュアル通りに仕事を進めなければなりません。

私は、クライアント様には、「最低限で作りましょう」と何時もお伝えします。

自分たちで出来る以上のことをマニュアルに書いてはいけません。

規格に書いてあることを、
なるべく緩く解釈して自社の実力に合せたマニュアルを作りましょう。

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