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仙川環:『人体工場』

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医療機器メーカーの工場長を23年経験しました。 本名は菊地孝仁、匠習作はペンネームです。 設計・製造・品質管理・安全管理まで経験済みです。 私自身、医療機器総括製造販売責任者、医療機器製造管理責任者の資格を有しています。 また、薬機法に関する業務も長年経験しております、QMS、GVP、ISO13485のマニュアル作成・運用まで対応しています。 21世紀のコア産業である、医療機器業界へ参入をお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。


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フィクションのような現実。仙川環『人体工場』

仙川環という作家の作品に多く見られる、救う手立てのある人間を救わないという行為の罪。

それは臓器移植だったり様々なケースのものなのですが、
今回仙川環が取り組んだテーマは『人体工場』

作品のタイトルともなっているこの人体工場とは文字通り人間の体を工場として使うというものです。

それは、普通に暮らしている以上、SFの出来事のように感じられる言葉。

また、嫌悪とともに『ありえない』といいたくなるような言葉。

しかし、そこにあるリアリティに読者として多くのことを考えさせられます。

仙川環『人体工場』とは

治験バイトから始まる物語

治験バイトという言葉に馴染みの薄い人も多いかもしれません。

私自身は大学時代などにそういったバイトをしている友人がいたので、
よく知っているのですが、簡単に言えば薬剤や治療の実験として自らを提供するバイトです。

もちろん、正規のものは極めて安全で、
さらに割もいいので学生にはある程度人気の高いバイトになっています。

物語は、そんな治験バイト、
しかし正規のものとは言えない奇妙な治験バイトから始まります。

主人公は治験バイトを経験した大学生の男。

検診の結果尿の蛋白に異常が生じた彼は再検査を受けるのですが、
そこで意外な事実が発覚します。

ミステリーとしてはそこまで複雑ではない

仙川環と言えば医療系ミステリーの旗手。

しかし、本作に限って言うならば、
内容的にはミステリー小説の趣はあまりありません。

どちらかと言えば、クライム・サスペンスに近い、
謎解き要素の少ないお話となります。

しかしながら、次々と暴かれていく真実の内容は濃厚で、
その手順において卓越した手腕を感じるのは言うまでもありません。

特に、登場人物の真の顔という点においては、
ミステリー作家の本領をしっかりと感じるできになっています。

人体工場、悪魔の所業か神の御業か

本作の主題となる、人体工場。
仙川環の他の作品と同じように、やはりその要不要を超えた善悪を問う内容となっています。

人体工場とは

まず、人体工場とは、文字通り人間の体を工場として利用する技術。

これは、SFでもなんでもなく、実際に考えられている技術です。

詳しい説明はぜひ読んでほしいので避けるとして、要は人体に有益な物質、
つまり病気の治療に必要な物質を、人間の体の中で製造しようという考え方です。

もちろんこれは、研究室の培地や他の動物でも可能です。

しかし、治療に必要なタンパク質を人間の中で製造する事によって、
人間に適したものを作ることができるというメリットが有ると本著には書かれています。

とうぜん日本ではNG

言うまでもないことですが、
人間の体を工場として利用するというのは日本では禁じられています。

それがいかなるものであったとしても、
人間の体をそのように利用することが倫理的に日本で認められるはずがありませんし、
これは世界でも同じです。

人権を取り出すまでもなく、
これは多くの人がうなずける話ではないでしょうか。

そう、これは、間違いなく人としての道を外れている行為。

なのですが、本著ではそこに深く切り込んで問題を提起してくるのです。

本当に許されざる行為であるのか

一見、決して許されない行為である人体工場。

しかし、もしこの行為によって工場となる人間の体に全く健康被害がでなかった場合、どうでしょう。

しかも、その結果製造されるものが、
不治の病を治すために必要なものであった場合、話は変わってきます。

本著の中でも、この葛藤はその中核をなすものとして存在します。

しかも、自分の体を工場にして出来上がるものが、
自分の大切な肉親を助けるために有用なものであった場合となると、
これは多くの人が自らの体を工場とすることに同意するかもしれません。

では、最初に戻って、人間工場とは本当に許されざる行為なのか。

この問いに、明確に答えを出すのはかなり困難であると言っていいでしょう。

仙川環作品から教わるタブーであることの愚かさ

本著における人体工場。
また、様々な仙川環作品で提示される問題を通して思うこと、
それはタブーであることの愚かさです。

命の話を避けて通ってきた

日本に限って言えば、日本人は命の話を避けて通りたがる傾向にあると言っていいでしょう。

これは臓器移植などもそうですが、
命の話というのは少なくとも我が国においてはかなりセンシティブな内容であると考えられています。

そして、その結果、日本ではこの手の話は遅々として進みません。

法整備はおろか、そういう技術の存在すら話の俎上に上ることはなく、
その結果、多くの患者さんが海外での治療を大金をはたいて受けなければならないような状況が生まれているのです。

医療大国であるはずの日本で、その技術はあるのに救えない命を生み出している無関心。

それこそ、自分や自分の親しい人間が、それを必要とする、
そうでないと生きられない状況になることで、
初めてそのことに関心を持ち熱心に活動する。

それが、残念ながら我が国の形です。

作品中でかわされる議論の大切さ

本著においても、登場人物たちが人間工場というものについて激しく議論を交わします。

あるものは無理やり人間工場とされた立場から、
あるものは肉親を助けるという立場から、
そして、医師の立場から、研究者の立場から、様々な立場から自らの意思を表明し論戦を交わす。

もちろん、その状況はかなり特殊で危機に直面しているような場面ではあります。

しかし、本当に必要なのは、
こういった議論がタブー視されずに一般社会でも行われること、ではないかと感じます。

本著の主人公や他の登場人物も、
その議論の中で様々な思いをいだきます。

そして自らの結論にたどり着く。

それこそが、こういった問題における唯一の解決方法であるかのように、です。

医学の進歩を見つめる大切さ

医学の進歩は、まさに日進月歩です。

そこにあるのは、人間の希望であり、
またともすれば倫理的に許されざるものである場合もあります。

それが悪魔の所業なのか、それとも神の御業なのか。

悪魔の所業を押し止めるためにも、
また神の御業の恩恵に浴するためにも、まず、私達は知らなければいません。

知って、考え、議論し、自分の考えをしっかりと持つ。

本著を読み終えた後、
あなたはその大切さを肌で感じることができると思います。

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