品質マニュアルのひな形はどこで入手する?|医療機器QMSの選び方

医療機器の製造販売業許可やISO13485の認証取得にあたって、品質マニュアルをゼロから書き起こすのは現実的ではありません。多くの企業がひな形を探すところから始めます。

ただ、ひな形にも種類があり、どれを選ぶかで後の工数が大きく変わります。この記事では入手方法を整理し、選ぶ際に見るべき点をお伝えします。

ひな形の入手先は大きく3つ

結論から申し上げます。入手先は次の3つに分かれ、それぞれ性質が違います。

入手先 費用 手順書・記録様式 実務での使いやすさ
自治体などが公開するサンプル 無料 含まれないことが多い 品質マニュアル本体のみなら十分実用的
書籍・規格解説書の付録 数千〜数万円 一部のみ 解説とセットで理解しやすい
コンサルティング会社等が提供するセット 有償 一式含まれる 導入後すぐ運用に入れる

無料で入手できるものもあるため、まず公開されているサンプルを確認するのが順序として合理的です。

自治体のサンプルは「マニュアル本体」には使える

東京都や大阪府など、規模の大きい自治体では、医療機器の品質管理に関する資料や様式例を公開しています。品質マニュアルの雛形として、内容は十分に実用的です。

ただし、ここで多くの企業がつまずきます。

公開されているのは品質マニュアル本体が中心で、手順書や記録様式までは揃っていないことがほとんどです。

前回の記事ISO13485の品質マニュアルの作り方でも触れたとおり、品質マニュアルは文書体系の「地図」にあたります。地図だけあっても、実際の道(手順書)と足跡(記録)がなければ、審査には対応できません。

実務で本当に手間がかかるのは、マニュアルより手順書と記録様式の整備です。

ひな形を使っても「そのまま」は使えない

もう一点、押さえておいていただきたいことがあります。

どのひな形を入手しても、そのまま提出できる文書にはなりません。

品質マニュアルは、自社の実態を記述する文書です。ひな形の会社名だけ差し替えて提出すれば、審査で「実態と合っていない」と指摘されます。

必要になるのは次の作業です。

  • 適用範囲の確定(自社が何を行い、何を除外するか)
  • 除外項目の正当性の説明(設計・開発を行わない場合など)
  • 自社のプロセスに合わせた記述の修正
  • 手順書一覧と、マニュアル本体との対応関係の整理
  • 組織体制・責任と権限の記述(薬事三役を含む)

ひな形の価値は、この作業の出発点を与えてくれることにあります。白紙から始めるのと、8割方できているものを直すのとでは、必要な時間がまったく違います。

文書の管理方法についてはISO13485 品質マニュアルを理解する:文書管理をご覧ください。

選ぶときの4つのチェックポイント

有償のひな形を検討される場合、次の4点をご確認ください。

① 手順書と記録様式が含まれているか

前述のとおり、実務の負荷はここに集中します。マニュアル本体だけのものを選ぶと、結局その先で行き詰まります。

QMS省令とISO13485の両方に対応しているか

国内で製造販売業許可を取得するならQMS省令、国際展開や取引先の要求があるならISO13485が必要です。両者は大枠が共通するため、一つの文書体系で両方に対応させるほうが効率的です。QMS省令についてはQMS省令とは? 医療機器製造販売に欠かせない知識で解説しています。

③ 自社の業態に不要な文書が含まれていてもよいか

輸入販売のみであれば製造関連の文書は不要です。ただし将来の事業展開を考えると、揃っているほうが安心という考え方もあります。ここは判断が分かれるところです。

④ 導入後に質問できる体制があるか

ひな形を手に入れても、「自社の場合はどう書くのか」という疑問は必ず出ます。文書だけを買って手が止まってしまう例は少なくありません。

とくに次のような場面で判断に迷います。

  • 設計・開発を外部委託している場合、7.3をどう扱うか
  • 滅菌工程がある場合に追加で必要な文書は何か
  • 製造を他社に委託している場合の責任分担をどう記述するか
  • 既にISO9001を取得している場合、どこまで流用できるか

いずれも自社の体制次第で答えが変わるため、ひな形の説明書には書ききれません。短時間でも相談できる窓口があるかどうかで、取得までの期間が変わります。

自作した場合、どれくらいかかるか

参考までに、ゼロから作成する場合の工数の目安をお伝えします。

工程 目安
規格・省令の読み込みと理解 2〜4週間
現状プロセスの洗い出し 1〜2週間
品質マニュアル本体の作成 3〜4週間
手順書・記録様式の整備 2〜3か月
社内レビューと修正 2〜4週間

医療機器の品質管理を初めて手がける企業では、通算で半年前後を見ておく必要があります。担当者が他業務と兼務であれば、さらに延びます。

この期間を短縮できることが、ひな形を導入する最大の意味です。

まとめ

  • 品質マニュアルのひな形は、無料で公開されているものもある。まず確認する価値がある
  • ただし手順書・記録様式まで揃っているものは限られる。実務の負荷はそちらに集中する
  • どのひな形もそのままでは使えない。適用範囲の確定と自社化の作業は必ず発生する
  • 選ぶ際は「手順書の有無」「QMS省令とISO13485の両対応」「質問できる体制」を確認する

当社では、ISO13485とQMS省令に対応した品質マニュアル・手順書・記録様式を一式でご用意しています。導入後のご相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

あわせて読みたい

参考リンク(一次情報)

本記事の内容は、以下の法令・公的機関の情報に基づいています。制度は改正されることがあるため、実務では必ず最新の条文・通知をご確認ください。

ISO13485・QMS省令 対応

品質マニュアル・手順書のひな形を販売しています

医療機器の製造販売業・製造業に必要な品質マニュアル、手順書、記録様式をセットでご用意。ゼロから作成する工数を大幅に削減できます。

QMS構築のご相談、薬事三役の要件確認、承認申請のサポートも承っております。

マニュアル&手順書セットを見るお問合せ・ご相談

上部へスクロール