医療機器を自社の名前で市場に出すには、医療機器製造販売業の許可が必要です。
「どこに申請すればよいのか」「どんな書類が要るのか」「許可が出るまでどれくらいかかるのか」——初めて参入する企業の担当者が、最初につまずくところです。
この記事では、東京都で許可申請を行う場合の手続きを、東京都健康安全研究センターが公表している情報をもとに整理します。
申請先は「総括製造販売責任者がいる事務所」の都道府県
先に結論をお伝えします。
薬機法上、製造販売業の許可は厚生労働大臣の権限ですが、その事務は総括製造販売責任者が業務を行う事務所の所在地の都道府県知事が行うと定められています(医薬品医療機器等法施行令 第80条)。
東京都に事務所を置く場合の申請先は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 東京都健康安全研究センター 広域監視部 医療機器監視課 医療機器審査担当 |
| 所在地 | 東京都新宿区百人町3-24-1 本館1階 |
| 窓口の受付 | 月曜〜金曜(祝日・年末年始を除く)午前9時〜午前11時30分 |
| 申請方法 | 窓口またはオンライン。郵送による申請は扱っていない |
| 標準処理期間 | 35日(土日祝日・年末年始を除く) |
窓口の受付は午前中のみです。受付時間を過ぎると当日は申請できないため、日程を組むときに注意してください。
許可の要件は3つ
許可の基準は薬機法 第23条の2の2に定められています。整理すると、次の3点です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 製造管理・品質管理の体制 | 厚生労働省令で定める基準(QMS体制省令)に適合していること |
| ② 製造販売後安全管理の方法 | 厚生労働省令で定める基準(GVP省令)に適合していること |
| ③ 申請者の欠格事由 | 申請者(法人は薬事に関する業務に責任を有する役員)が、法に定める欠格事由に該当しないこと |
あわせて、総括製造販売責任者を置くことが必要です(同法 第23条の2の14)。
申請する種別(第一種・第二種・第三種)は、扱う医療機器のクラス分類で決まります。種別ごとの違いと、薬事三役の兼務の可否は医療機器製造販売業の第一種・第二種・第三種の違いで詳しく解説しています。
申請までの流れ
東京都での申請は、おおむね次の順序で進みます。
- 扱う医療機器のクラス分類を確定し、申請する種別を決める
- 総括製造販売責任者・国内品質業務運営責任者・安全管理責任者を決め、資格要件を確認する
- 品質管理と製造販売後安全管理の体制を文書にする
- 業者コードを登録する(厚生労働省へ)
- 申請書を作成する(FD申請ソフト)
- 添付書類をそろえて、窓口またはオンラインで申請する
- 許可証を受け取る(はがきで通知を受けて窓口で引き換えるか、郵送を選択)
業者コードの登録を先に済ませる
見落とされやすいのが④です。許可申請の前に、業者コードの登録が必要です。
- 提出先は厚生労働省です(令和3年4月26日以降、都道府県から変更)。原則としてe-Gov電子申請サービスから申請します
- 手数料は無料です
- 初めて取得する場合は、申請者(法人)のコードと、事務所のコードの2種類を取得します。申請者のコードだけでは申請できません
東京都も、申請前に余裕をもって業者コードを登録するよう案内しています。三役の人選や文書づくりと並行して、早めに済ませておくのが安全です。
申請書はFD申請ソフトで作る
申請書は、厚生労働省が配布しているFD申請ソフトで作成します。ソフトを使った場合は、作成したファイルを保存したCDまたはFDも提出します。提出部数は1部(申請者控え1部)です。
添付書類の一覧
東京都が示している添付書類は次のとおりです。
| 書類 | 注意点 |
|---|---|
| 総括製造販売責任者の雇用契約書の写し、または使用関係を証する書類 | 使用関係を証する書類の休日は「会社の定める日」ではなく、夏季休暇・年末年始など具体的に書く |
| 総括製造販売責任者の資格を証する書類 | 卒業証書の写し(窓口で原本の提示が必須)または卒業証明書、従事年数証明書、講習会修了証の写しなど。資格要件の区分によって必要な書類が変わる |
| 案内図 | 最寄りの駅から事務所までの地図 |
| 建物の配置図 | 同じ地番に複数の建物がある場合や、フロアの一部に事務所がある場合 |
| 平面図 | 許可の対象となる事務所の範囲がわかるもの |
| 登記事項証明書 | 申請日より6ヶ月以内に発行された原本 |
| 診断書 | 責任役員が、精神機能の障害により業務に必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えないおそれがある場合に限る(令和3年8月1日の法改正で要件が変更) |
| 組織図 | — |
| 製造管理及び品質管理に係る体制に関する書類 | 国内品質業務運営責任者の資格要件を確認のうえ作成 |
| 製造販売後安全管理に係る体制に関する書類 | 安全管理責任者の資格要件を確認のうえ作成 |
| 製造販売業の許可証の写し | すでに製造販売業の許可を受けている場合のみ |
登記事項証明書や総括製造販売責任者の資格を証する書類などは、同じ法人ですでに都へ提出済みで内容に変更がなければ、添付を省略できる場合があります。
手数料と許可の有効期間
東京都の申請手数料は、種別によって異なります(2026-09-17時点の東京都健康安全研究センターの公表額)。
| 種別 | 手数料 |
|---|---|
| 第一種医療機器製造販売業 | 146,200円 |
| 第二種医療機器製造販売業 | 128,500円 |
| 第三種医療機器製造販売業 | 92,900円 |
手数料は納付後に返金できません。 東京都も「クラス分類や資格要件等を確認の上、申請を」と注意を促しています。種別を誤ったまま申請すると、手数料が無駄になるおそれがあります。
許可の有効期間は5年です(医薬品医療機器等法 第23条の2第4項、同法施行令 第36条)。期間ごとに更新を受けなければ、許可は効力を失います。
※手数料や様式は改定されることがあります。申請の前に、必ず東京都健康安全研究センターの最新の案内をご確認ください。
準備で時間がかかるのは「人」と「体制の文書」
申請書そのものは、FD申請ソフトで作れば大きな負担にはなりません。時間がかかるのは、その前段です。
① 三役の人選と資格の証明
総括製造販売責任者の資格は、学歴・従事年数・講習の組み合わせで判断されます。卒業証書の原本提示や従事年数証明書が必要になる場合があり、書類を取り寄せるだけで日数がかかることがあります。三役それぞれの要件は薬事3役(5役)について、初心者でも分かり易く解説しますで解説しています。
② 体制に関する書類
添付書類のうち「製造管理及び品質管理に係る体制」と「製造販売後安全管理に係る体制」は、自社の組織と業務の実態に合わせて作る必要があり、ひな形を埋めるだけでは済みません。
この体制は許可を取ったあとも、品質マニュアル・手順書・記録として運用し続けるものです。申請のためだけの書類にせず、運用できる文書体系として最初から設計しておくと、後の手戻りが少なくなります。品質マニュアルの構成はISO13485の品質マニュアルの作り方、手順書の全体像はQMS省令・ISO13485の手順書一覧で整理しています。
製造業の登録は別の手続き
最後に、混同されやすい点をひとつ。
製造販売業の許可と、製造業の登録は別の手続きです。自社で設計・主たる組立て・滅菌・国内最終製品の保管などの工程を行う場合は、製造業の登録も必要になります(どの工程で登録が必要かは、医療機器のクラス等によって異なります)。製造業の登録申請の書類は医療機器製造業登録申請に必要な書類をご覧ください。
まとめ
- 申請先は、総括製造販売責任者が業務を行う事務所の所在地の都道府県。東京都は健康安全研究センター 医療機器監視課 医療機器審査担当
- 窓口の受付は平日午前9時〜11時30分。郵送不可、オンライン申請は可能
- 申請前に業者コード(申請者・事務所の2種類)を厚生労働省に登録する
- 標準処理期間は35日(土日祝日・年末年始を除く)、許可の有効期間は5年
- 手数料は返金不可。種別と資格要件を確認してから申請する
- 時間がかかるのは三役の人選と、体制に関する書類づくり
許可申請の準備や、体制に関する書類づくりでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
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