医療機器の製造販売業許可には、第一種・第二種・第三種の3つがあります。
「自社はどれを取ればよいのか」「後から変更できるのか」——参入を検討される企業から、必ずいただくご質問です。種別を誤ると、扱いたい製品が扱えなかったり、不要に厳しい体制を求められたりします。
この記事では、3つの違いと選び方を整理します。
種別は「扱う医療機器のクラス」で決まる
先に結論をお伝えします。どの種別を取得すべきかは、自社が扱う医療機器のクラス分類で決まります。
| 製造販売業の種別 | 扱える医療機器 |
|---|---|
| 第一種医療機器製造販売業 | 高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)とそれ以下すべて |
| 第二種医療機器製造販売業 | 管理医療機器(クラスⅡ)とそれ以下 |
| 第三種医療機器製造販売業 | 一般医療機器(クラスⅠ)のみ |
上位の種別は下位の製品も扱えます。第一種を取得すれば、クラスⅠ〜Ⅳのすべてを扱えます。
自社製品がどのクラスに該当するかは、医療機器の分類を理解するをご覧ください。ここが確定しないと、種別も決まりません。
最大の違いは「薬事三役の兼務」
種別によって、体制の要件が変わります。実務上、最も影響が大きいのがここです。
医療機器の製造販売業には、次の3つの責任者(薬事三役)を置く必要があります。
- 総括製造販売責任者
- 国内品質業務運営責任者
- 安全管理責任者
この3者を何人で兼ねられるかが、種別によって異なります。
| 種別 | 兼務の可否 |
|---|---|
| 第一種 | 総括製造販売責任者と国内品質業務運営責任者の兼務が可能 |
| 第二種 | 上記に加え、国内品質業務運営責任者を兼務していない場合に限り、総括製造販売責任者と安全管理責任者の兼務が可能 |
| 第三種 | 三者すべての兼務が可能 |
つまり第三種であれば1人で体制を組めますが、第一種では最低2人が必要になります。人員が限られる中小企業にとって、この差は小さくありません。
各責任者の資格要件と、兼務の実務上の注意点は薬事3役(5役)について、初心者でも分かり易く解説しますで詳しく解説しています。
「法令上は可能」と「実際に通る」は別
ここが実務で最も注意すべき点です。
法令上、第一種でも資格要件を満たす人が2人いれば体制は組めます。しかし、都道府県の薬務課による調査では、その2人で業務が回るのかを必ず質問されます。
たとえば、社長が総括製造販売責任者を兼ねるケース。社長は実質的に販売部門のトップですから、品質業務の責任者と兼務することには、独立性の観点から疑問が出ます。
このとき有効なのは、将来の増員計画を示すことです。「現在は立ち上げ期で売上もないため、この体制で運用します。売上の伸びに応じて人員を増やし、三役を個別に配置します」——実態に即した説明であれば、理解を得られることがほとんどです。
取り繕うのではなく、現状と計画を正直に説明するのが結果的に近道です。
どの種別を取得すべきか
判断は次の順序で行います。
① 扱う製品のクラスを確定する
自社が販売しようとする医療機器のクラス分類を確認します。ここがすべての出発点です。
② 将来の製品展開を考える
現在はクラスⅡの製品だけでも、将来クラスⅢに参入する可能性があるなら、最初から第一種を取得しておく選択もあります。後から種別を上げるには、あらためて許可申請が必要です。
ただし第一種は体制の要件が厳しくなるため、人員に余裕がなければ、まず第二種で始めて実績を積むという進め方も現実的です。
③ 体制を組めるか確認する
三役の資格要件を満たす人材が社内にいるか。いない場合、外部から招くか、要件を満たすまで実務経験を積むか。ここが最も時間のかかる部分です。
種別によってQMS体制の求められ方も変わる
もう一点、押さえておいていただきたい違いがあります。
製造販売業の許可を受けるには、QMS体制省令への適合が求められます。これは品質管理と製造販売後安全管理を行う「体制」が整っているかを見るものです。
種別が上がるほど、扱う製品のリスクが高くなるため、求められる管理の水準も上がります。
| 種別 | 扱う製品のリスク | 体制に求められる水準 |
|---|---|---|
| 第一種 | 高い(不具合が生命に直結しうる) | 最も厳格。三役の独立性、記録の網羅性が重視される |
| 第二種 | 中程度 | 第一種に準じる |
| 第三種 | 比較的低い | 相対的に緩やか |
ただし「第三種だから手を抜いてよい」わけではありません。文書体系そのものは、どの種別でも同じように必要です。品質マニュアル、手順書、記録様式を揃えたうえで、自社の業務範囲に合わせて調整することになります。
必要な文書の全体像はQMS省令・ISO13485の手順書一覧で整理しています。
よくある誤解
「販売業の許可があれば製造販売業は不要では?」
別の許認可です。販売業は、他社が製造販売した医療機器を仕入れて売る場合の許可。製造販売業は、自社の名前で製品を市場に出す(元売りになる)場合の許可です。自社ブランドで販売するなら、製造販売業が必要になります。
「輸入するだけなら簡単では?」
海外製品を輸入して国内で販売する場合も、製造販売業の許可が必要です。輸入元が国内での責任を負うためです。むしろ海外メーカーとの品質協定や、海外製造所の管理といった論点が加わります。
「後から種別を変えられる」
変更は可能ですが、あらためて許可申請の手続きが必要です。体制の要件も変わるため、人員の再配置が生じることもあります。最初の判断で、将来の展開まで見ておくほうが結果的に手戻りが少なくなります。
製造業の登録は別に必要
見落とされやすい点をひとつ。
製造販売業と製造業は、別の許認可です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 製造販売業(許可) | 製品を市場に出す責任を負う。種別(第一種〜第三種)はこちら |
| 製造業(登録) | 実際に製造を行う。種別の区分はない |
自社で製造する場合は両方が必要です。製造を外部に委託する場合でも、委託先が製造業の登録を持っていることを確認する必要があります。
まとめ
- 種別は扱う医療機器のクラス分類で決まる。第一種が最も広く扱える
- 最大の違いは薬事三役の兼務可否。第三種は1人可、第一種は最低2人必要
- 法令上可能でも、薬務課の調査では「実際に回るのか」を問われる。増員計画を示す
- 将来の製品展開を見据えて種別を選ぶ。後から上げるには再申請が必要
- 製造販売業と製造業は別の許認可
種別の判断や体制づくりでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
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