医療機器を製品として市場に出すには、製造販売業の許可を取るだけでは足りません。製品(品目)ごとに、「承認」「認証」「届出」のいずれかの手続きが必要です。
3つのうちどれになるかは、医療機器のリスクの大きさと、国が定めた基準があるかどうかで決まります。手続きを取り違えると、申請先も、準備する資料も、かかる期間も変わってしまいます。
この記事では、3つの手続きの違いを薬機法(医薬品医療機器等法)の条文をもとに整理し、自社の製品がどれに当たるのかを考える手がかりをお伝えします。
結論:リスクと基準の有無で「承認・認証・届出」が決まる
先に結論をお伝えします。
| 手続き | 対象となる医療機器 | 誰が判断するか | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 承認 | 一般医療機器と、認証の対象として指定されたもの以外の医療機器 | 厚生労働大臣(審査はPMDAが行う) | 第23条の2の5 |
| 認証 | 厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器・管理医療機器(指定高度管理医療機器等) | 登録認証機関(国の登録を受けた第三者機関) | 第23条の2の23 |
| 届出 | 承認・認証の対象以外の医療機器(一般医療機器など) | 審査はなく、あらかじめ届け出る | 第23条の2の12 |
ポイントは、認証は「基準がある品目」に限られることです。国が認証基準を定めて指定した品目であれば、登録認証機関が基準への適合を確認します。基準がない品目は、同じクラスでも承認が必要になります。
3つの手続きの中身
承認:品目ごとに大臣の承認を受ける
承認は、品目ごとに厚生労働大臣の承認を受ける手続きです(第23条の2の5第1項)。申請書には、品質・有効性・安全性に関する資料を添付します。
審査は、政令で定める品目についてPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が行います(第23条の2の7)。新しい原理の製品や、既存品と構造・性能が大きく異なる製品は、審査に時間がかかることを見込んでおく必要があります。
認証:登録認証機関が基準への適合を確認する
認証は、厚生労働大臣が基準を定めて指定した品目について、登録認証機関の認証を受ける手続きです(第23条の2の23第1項)。
審査の物差しは、国が定めた認証基準です。基準に適合していなければ認証は与えられません(同条第2項第4号)。どの品目が指定されているかは、PMDAが公表している認証基準の一覧で確認できます。
届出:審査はなく、あらかじめ届け出る
承認・認証の対象にならない医療機器は、製造販売をする前に、品目ごとに届け出ます(第23条の2の12第1項)。届出先は厚生労働大臣ですが、PMDAが受理する品目は、PMDAに届け出ます(第23条の2の13)。
届け出た事項を変更したときは、30日以内に変更の届出が必要です(第23条の2の12第2項)。届出だから一度出せば終わり、ではありません。
申請の前に必要なもの
承認と認証には、申請する側の条件が条文に書かれています。
| 条件 | 承認 | 認証 |
|---|---|---|
| 品目の種類に応じた製造販売業の許可を受けている | 必要 | 必要 |
| 製品を作る製造所が製造業の登録を受けている | 必要 | 必要 |
| 政令で定める品目は、製造管理・品質管理の方法がQMS省令の基準に適合している | 必要 | 必要 |
つまり、品目の手続きは「許可」「登録」「QMS体制」がそろって初めて通ります。製造販売業の種類(第一種〜第三種)は扱える医療機器のクラスで決まるので、承認・認証を受けたい品目のクラスに合った許可を先に確認してください。
取り違えやすいポイント
「クラスⅡだから認証」とは限らない
認証の対象は、クラスそのものではなく「基準が定められて指定された品目」です。同じ管理医療機器でも、認証基準のない品目は承認になります。クラス分類だけで手続きを決めず、該当する認証基準があるかを確認することが出発点です。
届出品目でも製造販売業の許可は要る
届出は審査がないため、「許可も要らない」と誤解されることがあります。届出を行うのは製造販売業者です(第23条の2の12第1項)。一般医療機器を扱う場合も、製造販売業の許可を受けたうえで届け出ます。
申請先を最初に確認する
承認はPMDAの審査を経て大臣が、認証は登録認証機関が、それぞれ判断します。相談先も申請先も違うため、品目の手続きが決まったら、まず相談の窓口を確認しておくと手戻りを防げます。届書・認証申請書の記載事項は、初心者にも分かる医療器機申請-3で解説しています。
まとめ
- 医療機器を市場に出すには、品目ごとに承認・認証・届出のいずれかが必要
- 承認は厚生労働大臣(審査はPMDA)、認証は登録認証機関、届出は審査なしで事前に届け出る
- 認証の対象は「国が基準を定めて指定した品目」。同じクラスでも基準がなければ承認になる
- 承認・認証には、製造販売業の許可・製造所の登録・QMS省令への適合がそろっていることが前提
- 届出でも製造販売業の許可は必要で、変更したときは30日以内に変更の届出をする
品目の手続きに向けて、製造販売業の許可やQMS省令に沿った文書をあわせて準備する場合は、お気軽にご相談ください。必要な文書の全体像はQMS省令・ISO13485の手順書一覧|必要な文書と作り方で整理しています。
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