QMS省令とISO 13485の違い|対比で分かる追加要求事項と適合性調査

医療機器の品質管理について調べると、「QMS省令」と「ISO 13485」という2つの言葉が必ず出てきます。

どちらも医療機器の品質マネジメントシステム(QMS)の要求事項を定めたもので、中身もよく似ています。そのため、「ISO 13485の認証を取れば、QMS省令にも対応できたことになるのか」と迷う方は少なくありません。

この記事では、QMS省令とISO 13485の違いを、省令の章立てと対比しながら整理します。

結論:QMS省令は「ISO 13485と整合した基本的要求事項+追加的要求事項」

先に結論をお伝えします。

比較項目 QMS省令 ISO 13485
位置づけ 薬機法に基づく省令(法令)。守らなければならない 国際規格。認証を取るかどうかは任意
正式名称 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第169号) ISO 13485:2016 Medical devices — Quality management systems — Requirements for regulatory purposes
中身 第2章「基本的要求事項」と第3章「追加的要求事項」などで構成 医療機器のQMSの国際的な要求事項
適合の確認 QMS適合性調査(PMDA・登録認証機関・都道府県が実施) 認証機関による審査・認証

QMS省令は、2021年(令和3年)の改正で、ISO 13485:2016との整合を図る見直しが行われました。第2章の「基本的要求事項」が、その中心です。

一方で、第3章の「追加的要求事項」には、文書・記録の保管期限や国内品質業務運営責任者など、日本の制度に合わせた要求事項が定められています。ISO 13485の認証を持っていても、第3章の内容は別に確認して対応する必要があります。

2021年の改正でISO 13485:2016と整合した

QMS省令は、令和3年厚生労働省令第60号で改正されました。公布は2021年3月26日で、同じ日に施行されています。

改正の趣旨は、ISO 13485:2016との整合を図ることとされています。改正前の省令に合わせた体制で運用していた事業者には、施行から3年間(2024年3月まで)の経過措置が設けられていました。この経過措置はすでに終わっているため、現在は改正後の省令に適合していることが前提です。

改正前の省令と改正の考え方は、QMS省令の改正についてポイントと対応でも取り上げています。

QMS省令の章立てとISO 13485の対比

改正後のQMS省令の章立ては、次のとおりです。

章 章の名称 条文
第1章 総則 第1条〜第3条
第2章 医療機器等の製造管理及び品質管理に係る基本的要求事項 第4条〜第64条
第3章 医療機器等の製造管理及び品質管理に係る追加的要求事項 第65条〜第72条の3
第4章 生物由来医療機器等の製造管理及び品質管理 第73条〜第79条
第5章 放射性体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理 第80条・第81条
第5章の2 再製造単回使用医療機器の製造管理及び品質管理 第81条の2〜第81条の2の6
第6章 医療機器等の製造業者等への準用等 第82条〜第84条

ISO 13485:2016との整合の中心になったのが第2章です。第3章は、日本の制度に合わせた追加の要求事項です。第4章以降は、生物由来の医療機器など、特定の製品に向けた規定です。

第2章は、さらに6つの節に分かれています。

第2章の節 条文
第1節 通則 第4条
第2節 品質管理監督システム 第5条〜第9条
第3節 管理監督者の責任 第10条〜第20条
第4節 資源の管理監督 第21条〜第25条の2
第5節 製品実現 第26条〜第53条
第6節 測定、分析及び改善 第54条〜第64条

製品標準書(第7条の2)は第2章(第2節)に入っています。製品または類似製品グループごとに、一般的名称・販売名、意図した用途、製品の仕様、製造・保管・取扱い・送達の方法などを記載して保管する文書です。追加的要求事項(第3章)ではない点に注意してください。

第3章「追加的要求事項」の主な中身

ISO 13485の認証だけでは対応できないのが、第3章です。主な条文は次のとおりです。

条文 内容
第66条 品質管理監督システムに係る追加的要求事項
第67条 品質管理監督文書の保管期限
第68条 記録の保管期限
第69条 不具合等報告
第70条 製造販売後安全管理基準(GVP)との関係
第71条 医療機器等総括製造販売責任者の業務
第72条 国内品質業務運営責任者
第72条の2 その他の遵守事項(修理業者からの通知の処理などの手順の文書化)
第72条の3 選任外国製造医療機器等製造販売業者等の業務

とくに実務で差が出やすいのは、次の3点です。

文書・記録の保管期限が決まっている

QMS省令では、品質管理監督文書と記録の保管期限が条文で定められています(第67条・第68条)。

区分 保管期限
特定保守管理医療機器に係る製品 15年間(製品の有効期間に1年を加えた期間が15年より長い場合は、その期間)
それ以外の医療機器等に係る製品 5年間(製品の有効期間に1年を加えた期間が5年より長い場合は、その期間)
教育訓練に係るもの 5年間

文書は廃止の日から、記録は作成の日から数えます。手順書で保管期間を決めるときは、この期限を下回らないようにしてください。

国内品質業務運営責任者を置く

製造販売業者は、品質管理業務の責任者として、国内に所在する施設に国内品質業務運営責任者を置かなければなりません(第72条)。要件は、品質保証部門の責任者であること、品質管理業務などに3年以上従事した者であること、販売に係る部門に属さないことなどです。出荷の決定の記録や、回収への対応なども担います。日本の制度で定められた役割なので、組織図と手順書に明記しておきます。

不具合等報告とGVPとのつなぎ

不具合の報告(第69条)や、製造販売後安全管理(GVP)との関係(第70条)も、日本の制度に合わせた要求事項です。品質管理(QMS)と安全管理(GVP)の情報のやりとりを、手順として決めておきます。

ISO 13485の認証があってもQMS適合性調査は必要

ISO 13485の認証を持っていても、国内のQMS適合性調査がなくなるわけではありません。

QMS適合性調査の申請では、ISO 13485の認証書や監査報告書は「申請時に提出する資料の一つ」として扱われ、そのうえで調査が行われます(PMDAの申請資料)。

調査を行うのは、PMDA・登録認証機関・都道府県のいずれかです。調査の流れや準備は、QMS適合性調査とは|申請から完了までの流れと準備すべきことで解説しています。

なお、MDSAP(医療機器単一監査プログラム)の調査報告書を活用できる仕組みもあります。ただし、報告書がQMS省令の要求事項をすべて確認したものであることなど、条件があります。利用を考える場合は、PMDAの最新の案内を確認してください。

よくある質問

Q. ISO 13485の品質マニュアルをそのまま使えますか?

第2章の部分は、ISO 13485に沿ったマニュアルを土台にして、条文と照らし合わせる方法があります。ただし、第3章以降の追加的要求事項(保管期限、国内品質業務運営責任者、不具合等報告など)を書き足す必要があります。品質マニュアルの作り方はISO13485の品質マニュアルの作り方|記載項目と作成手順を解説をご覧ください。

Q. ISO 13485の認証は取らなくてもよいのですか?

国内で医療機器を製造販売するために必要なのは、QMS省令への適合です。ISO 13485の認証を取るかどうかは任意です。海外への展開などで必要になるかは、相手国の規制や取引先の条件で確認してください。

まとめ

  • QMS省令は薬機法に基づく省令で、守らなければならない。ISO 13485は国際規格で、認証は任意
  • 2021年3月26日の改正で、ISO 13485:2016との整合を図る見直しが行われた
  • 第3章の追加的要求事項(保管期限・国内品質業務運営責任者・不具合等報告など)は、ISO認証とは別に対応が必要
  • 製品標準書は第2章(第7条の2)に入っている
  • ISO 13485の認証があっても、国内のQMS適合性調査は必要

QMS省令とISO 13485の両方に対応した手順書が必要な場合は、QMS省令・ISO13485の手順書一覧|必要な文書と作り方で全体像を確認できます。QMS省令の基本はQMS省令とは? 医療機器製造販売に欠かせない知識でまとめています。

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