QMS適合性調査は、医療機器の承認や認証を受けるときに一度受ければ終わり、ではありません。承認・認証を受けた後も、5年ごとに調査を受け直す必要があります。これを一般に「定期調査」と呼びます。
この記事では、定期調査がなぜ5年ごとなのかを薬機法(医薬品医療機器等法)と施行令の条文で確認し、基準適合証の有効期間、調査を省略できる場合、5年の間に準備しておくことを整理します。調査の手数料や処理期間は、調査を行う機関や品目によって変わるため、ここでは扱いません。
QMS適合性調査そのものの流れは、QMS適合性調査とは|申請から完了までの流れと準備すべきことで解説しています。
結論:承認品目も認証品目も「5年ごと」
先に結論をお伝えします。
| 区分 | 調査を受けるとき | 期間を定める条文 | 調査を行う者 |
|---|---|---|---|
| 承認品目 | 承認を受けようとするとき、および承認の取得後5年を経過するごと | 法第23条の2の5第6項/施行令 第37条の21 | 厚生労働大臣(PMDAが行う場合はPMDA) |
| 認証品目 | 認証を受けようとするとき、および認証の取得後5年を経過するごと | 法第23条の2の23第4項/施行令 第39条 | 登録認証機関 |
法律の本文では、期間は「取得後三年を下らない政令で定める期間」と書かれています。その期間を政令(施行令)が5年と定めている、という二段構えです。
届出品目(クラスⅠ)は承認も認証も受けないため、この定期調査の対象ではありません。
基準適合証の有効期間も5年
調査の結果、製造管理・品質管理の方法が基準(QMS省令)に適合していると認められると、基準適合証が交付されます(承認品目は法第23条の2の6第1項、認証品目は法第23条の2の24第1項)。
基準適合証の有効期間は、それぞれ「政令で定める期間」とされており(法第23条の2の6第2項・第23条の2の24第2項)、つまり調査の周期と同じ5年です。
実務では、「承認・認証を受けた日」よりも「基準適合証の有効期限」で管理しておくと、更新の時期を見落としにくくなります。
調査を受けなくてよい場合
新しく承認・認証を受ける品目でも、次の2つを両方満たすときは、QMS適合性調査を受けなくてよいとされています(承認品目は法第23条の2の5第7項、認証品目は法第23条の2の23第5項)。
- すでに交付を受けている基準適合証の品目と、同じ厚生労働省令で定める区分に属する品目であること
- その品目を製造するすべての製造所(滅菌など省令で定める工程だけを行う製造所を除く)が、基準適合証の品目を同じ製造工程で製造している製造所であること
つまり、有効な基準適合証を持っていることは、同じ区分の新製品を出すときの手続きを軽くすることにもつながります。逆に言えば、基準適合証が切れていると、この省略も使えません。
なお、この省略の規定があっても、厚生労働大臣(認証品目では登録認証機関)が品目の特性などから必要と認めるときは、調査が行われます(法第23条の2の5第8項・第23条の2の23第6項)。
業許可の更新とは別の手続き
「5年ごと」という言葉は、製造販売業の許可や製造業の登録の更新にも出てきます。しかし、業許可の更新は会社や製造所について、QMS適合性調査は品目について行うもので、別の制度です。業許可を更新しても、品目の定期調査を受けたことにはなりません。
業許可の更新の期限や窓口は、医療機器製造販売業の許可更新|5年ごとの期限・手数料・東京都の窓口で整理しています。
5年の間に準備しておくこと
定期調査で見られるのは、前回の調査から今日までの間、QMS省令に沿った仕組みが実際に動いていたかです。調査の直前に文書を整えても、その間の記録は後から作れません。
基準適合証の一覧と有効期限を管理する
品目が増えると、基準適合証ごとに有効期限がずれていきます。品目・区分・製造所・有効期限を一覧にして、期限が近いものから申請の準備を始められるようにしておきます。調査の申請は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣(PMDAが調査を行う場合はPMDA)に行います(施行令 第37条の22)。申請の時期や提出物は、調査を行う機関の最新の案内で確認してください。
記録を日頃から残しておく
内部監査、マネジメントレビュー、是正処置、変更の管理など、QMS省令の手順書に沿って業務を行った記録が、5年分そろっていることが前提になります。手順書と実際の作業がずれていると、そこが指摘の起点になります。
製造所や工程の変更を記録に残す
5年の間に、製造所の追加や外部委託先の変更、工程の見直しが起きることは珍しくありません。何を・いつ・どの手順で変えたかが記録でたどれるようにしておくと、調査での説明がしやすくなります。
まとめ
- QMS適合性調査は、承認・認証を受けるときに加え、取得後5年ごとに受ける(法第23条の2の5第6項・第23条の2の23第4項、施行令 第37条の21・第39条)
- 基準適合証の有効期間も5年。管理は有効期限で行うと見落としにくい
- 有効な基準適合証があり、同じ区分・同じ製造所の品目なら、新しい品目の調査を受けなくてよい場合がある
- 業許可・登録の更新とは別の手続き
- 定期調査で見られるのは、5年間の運用の記録
定期調査に向けて、QMS省令に沿った手順書や記録様式の見直しが必要な場合は、お気軽にご相談ください。必要な文書の全体像はQMS省令・ISO13485の手順書一覧|必要な文書と作り方で整理しています。
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